その補綴に根拠はあるか
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治療選択のコンセプト治療計画の立案初期治療・前処置支台歯の選択設計・製作メインテナンス・経過観察咬合調整欠損を拡大させない治療コンセプトをもつに至った理由 筆者(前田)がこのコンセプトをもつに至った第1の理由として、単に「痛みがあるから歯を治療したい」という姿勢から、8020運動1にも代表されるように「自分の歯で一生過ごしたい」「歯は大切だ」と考える人が確実に増えてきていることが挙げられる。 第2の理由としては、筆者の体験をとおして「欠損を拡大させない補綴」の重要性を認識したからである。それはまず、1988~1989年にかけて、カナダ・ブリティッシュコロンビア大学に留学中に、デンバーでの米国歯周病学会(AAP:American Academy of Periodontology)に参加したことに始まる。そこでは、すでにオッセオインテグレーションタイプのインプラントが歯周治療の選択肢の1つとなり、多数の臨床報告がなされていた。さらにNevinsらの“Longevity(永続性)”“Predicatbility(予知性)”“Cleansability(清掃性)”を重視した歯周補綴治療の20年、30年の長期症例の経過が報告されていた2。そこでは、歯周治療は「歯周病を治す」というよりも「清掃しやすい環境をつくること、持続すること」が目的とされていた。その考えに従った歯周補綴治療では、メインテナンスを継続することで長期間良好に機能を果たすことが示されていたのである。すなわち、ここでは継続したメインテナンスの重要性を学んだといえる。 第3の理由としては、大学の先輩で直接指導していただいた恩師である、長岡英一先生からオーバーデンチャーの基本的な考え方とそれによって顎堤を保護できること3、さらに尾形和彦先生に、支台歯に加わる力の測定によって支台歯を守る方法を考えることを学んだ4,5からである。 第4の理由としては、1988年のBrånemarkによるブリティッシュコロンビア大学での講義のなかで、オッセオインテグレーションタイプのインプラントでは周囲骨のリモデリングが期待できること6が提示され、欠損部や無歯顎においてインプラントが支台として利用できる可能性を知ったことである。 さらに第5の理由として、このような考えで臨床を進めてきたことが間違いではないと確信させられた千葉県我孫子市でご開業の千葉英史先生との出会い7があり、先生の「可能な限り歯を維持する」姿勢に共感したことがある。筆者はその治療法が“欠損を拡大させない”ものであるかをコンセプトに選択していますCheck!1あなたの補綴治療を選択するにあたってのコンセプトは?コンセプトは欠損を拡大させない” 補綴治療!!10

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