別冊 デジタルデンティストリーの進化と検証
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プラットフォームスイッチングの科学 ─基礎的研究結果の提示から臨床的考察まで─65bbに不当に欲求や意思を入り込ませるならば、魔術的なものに転化あるいは逆戻りするであろう”。「科学」は何かに対して疑問を持ち、仮説を立てて、実験や観測を行い、実証という方法による「知的探求」である3)。文献紹介1)文献1の要旨Makigusa K, Toda I, Yasuda K, Ehara D, Suwa F. Effects of platform switching on crestal bone around implants: a histomorphometric study in monkeys. Int J Periodontics Restorative Dent 2014;34 Suppl3:s35‐41. カニクイザルの下顎左右臼歯部を抜歯後、10週経過後に同一術者が1回法にてインプラントを骨縁下埋入した(図1、2)。対照群として通常サイズのアバットメント(4.1mm)を選択し(非プラットフォームスイッチング型)、実験群としてプラットフォームスイッチングしたアバットメント(3mm)を選択した(プラットフォームスイッチング型)。8週経過後に実験動物を安楽死させ、微細血管鋳型標本を製作し、走査型電子顕微鏡(SEM)および光学顕微鏡(LM)の2種類の方法にて頬側‐舌側的断面および近心‐遠心的断面を観察した(図3~5)。加えて、インプラント‐アバットメント接合部(以下IAJ)における垂直的・水平的な骨の位置を計測した(図6、表1)。本研究から以下の結論を得た。1. 非プラットフォームスイッチング型インプラントではこれまで報告されてきたように垂直的・水平的な骨吸収が認められた。2. プラットフォームスイッチング型インプラントでは骨縁下埋入したインプラント周囲の骨の高さが維持図1‐a~c 動物実験におけるインプラント埋入時の口腔内所見。対照群、実験群ともにインプラント埋入は抜歯後10週経過時に同一術者が骨縁下埋入にて行った。また、手術法は1回法を選択し、埋入と同時にテンポラリーヒーリングアバットメントを装着した。abc図4‐a、b 対照群のSEM所見(インプラント埋入後8週経過時)。弱拡大(a)におけるIAJ付近を拡大して画像を用いて色識別してみると、対照群ではソーサライゼーションにより歯槽骨頂部の骨は吸収し、その位置はIAJよりも下方であった(矢印)。図5‐a、b 実験群のSEM所見(インプラント埋入後8週経過時)。弱拡大(a)におけるIAJ付近を拡大して色識別してみると、実験群ではソーサライゼーションは認められず、骨頂部の位置はIAJよりも上方に位置しているとともに内方(アバットメント方向)に向かって新生骨が形成されていた(矢頭)。図2‐a、b インプラント埋入直後のデンタルX線所見。対照群(a)、実験群(b)ともにインプラントは骨縁下埋入されているのが確認でき、インプラントは相互に影響が出ないように十分な距離が開いている。図3‐a、b 標本作製時のマイクロCTレンダリング所見。対照群(a)、実験群(b)ともにインプラントを骨縁下埋入した。8週後の標本作製時では対照群は第1スレッドが露出していたのと比較し、実験群では歯槽骨頂部の骨は維持されていた。ababaa

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