別冊 デジタルデンティストリーの進化と検証
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デジタルデンティストリーがもたらすインプラント補綴─長寿社会を迎えて─87治療を大きく変えようとしている技術として光学印象がある2)。すでに各社から発売されており、普及しつつある(図1)。そこで、国内では未販売であるが、3shape TRIOSを使用して光学印象のフルマウスへの応用の可能性を検証してみた。図2にあるようにスキャナーとパソコンで構成されており、チェアサイドでも場所をとらずに使用できる。まず、口腔外での模型の光学印象を行ったところすぐれた適合が確認でき、これまでの技工用スキャナーと違い、咬合器に模型を付着したままスキャンできるなど高い有用性が認められた。次に、実際に口腔内でも使用したところ、ノンパウダーであり、スキャンとともに印象データがリアルタイムで画像に映し出されるなど、操作性も良好であった。(図3‐a~c)また、印象不良部位があってもすべての再印象が必要である印象材使用と異なり、その部位のみを後から再スキャンすることで確認データを重ね合わせることもできる。 メタルフレームのデザインはデータ上で作成できるが、最終補綴物製作などにおいて模型製作が望ましいので、スキャンしたデータを基に模型も製作した(core3D)。製作された模型は石膏でなくポリウレタン材であるため削れてしまうこともなく、必要な支台は分割模型として製作でき、さらに複製も何度でもできる。口腔内でのスキャンしたデータにおいて、歯肉縁下やデータ重ね合わせ部において課題も残されているが、さらなる進歩によるスキャナーのコンパクト化、読み込みの迅速化なども含めフルマウスへの応用の高い可能性が示唆された(図3‐d、e)。 長寿社会を迎え、光学印象は印象材による患者の不快感の解消、在宅診療への応用の可能性も高いと考えられる。そして、避けることのできない印象材硬化にともなう歪の解消、さらにインプラント体に対してはスキャンボディを連結してスキャンする方法も開発されており、印象が簡便になるとともに、歯肉縁下のインプラントの正確な位置再現も可能となってきている。以上から、確実に光学印象が普及していくであろうことが実感された。図1‐a~d 各種光学印象。左からLAVA C.O.STM、I TeroTM、E4DTM、CERECACTM。図2 3shape TRIOSにて臨床応用を行った。コンパクトでありチェアーサイドに置いて使用できる(協力:協和デンタルラボラトリー)。図3‐a~e 60歳男性。上顎フルケースにおいて実施した。模型上と口腔内でのスキャンデータを元に模型をそれぞれ製作(core3D)しフレームの適合を検証。歯肉縁下マージンや画像の重ね合わせなどに課題がまだ残されているようだが、患者の不快感解消やデジタルのさまざまな長所より、確実に光学印象が普及していくことが予想された。abcdabcde

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