抜歯テクニックコンプリートガイド
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section 2 切開・剥離53抜歯テクニックコンプリートガイド普通抜歯下顎埋伏智歯上顎埋伏智歯難抜歯合併症抜歯の器具麻酔・抗菌薬・止血上顎正中埋伏過剰歯埋伏犬歯・乳歯開放創(二次閉創)は腫れない?縦切開と横切開■歯頸部に沿った水平方向の切開を横切開(歯頚切開),垂直(歯軸)方向の切開を縦切開,歯軸と交差するような切開を斜切開とよぶ.しかし,垂直方向の切開の縦切開と斜切開を区別せず,縦切開とよぶことが多いので,以下ではこれに準ずる.横切開は直線状と扇状切開に分類される.■また,横切開は入れる位置によって,歯肉溝内切開,歯肉頂切開,歯肉溝外切開に分類される.歯肉溝内切開は,歯肉溝内にメスを入れて,一般的には歯頸部の豊隆に沿った扇状切開が一般的である.■縦切開線の設定において,歯間乳頭を含むようにデザインせざるをえない場合には,術後に歯間乳頭が退縮し,いわゆるブラックトライアングルになりやすいので,極力それを避けるため,歯間乳頭部の切開には細心の注意を払う必要がある.議論 一般的に下顎智歯抜去後の開放創(二次閉創)と閉鎖創(一次閉創)とを比較すると,開放創のほうは術後腫脹が少ないが,第二大臼歯後方に歯周ポケットができる可能性があるとされる.さらに,抜歯部の術後形態が悪いとの指摘があり,長く議論の対象である.いずれの点も明らかなエビデンスは少ない.ポイント これらの点について,報告をまとめてみると,①開放創のほうが腫脹は少なく,第二大臼歯後方の歯周ポケットの深さには差がない25(図15).②開放創では,術後の疼痛と腫脹がともに少ない22.③開放創は術後の疼痛と腫脹を減少させるのみではなく,ドライソケットの発生率も減少させる26.④チューブドレーン挿入と一次閉創では,腫脹はチューブドレーン挿入が少ないが,疼痛では差がない27.⑤二次閉創術とドレーンの併用では,疼痛と腫脹に関して両者には差がない28などとされている.■腫脹軽減のために,第二大臼歯後方で少し離れた切開創縁をトリミングして開放するとする説もある29(図16).舌側舌側舌側舌側切除図15 開放創は腫れない.しかし,術後の形態は悪い? ポケットができる? a:完全一次閉鎖のための単一切開.b:一次閉鎖を行わないための遠心楔状法.*参考文献25・52頁より引用・改変舌側図16 後方は少し開放する.*参考文献29・45頁より引用・改変ba

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