抜歯テクニックコンプリートガイド
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CHAPTER 3 下顎埋伏智歯78抜歯テクニックコンプリートガイド水平埋伏歯の分割──その位置と深さ■それでは,水平埋伏智歯の分割は,どの位置でどのような深さで行うのか?議論1 エナメル‐セメント境またはそのやや根尖側で,頬舌幅の2分の1から4分の3はバーで切断する.その後はヘーベルにて分割する17.議論2 リンデマンバーにて,エナメル‐セメント境を切断する.完全には切断する必要はなく,根の直径の約30〜40%の溝に,直タイプのヘーベルを挿入し,回転により,歯冠を歯根から分割する58.しかし,この方法では大部分の分割は不完全になると考える.議論3 歯の分割は舌側4分の3の位置で止める14.議論4 歯の頬側から舌側へ3分の2から4分の3分割する57.議論5 タービンでの歯冠分割の際,ほぼ完全に歯冠切断を行う.すなわち,中途半端なところまでタービンで切断して,ヘーベルで分割すると思わぬ方向に分割され,歯冠の除去ができないことがある46.議論6 舌側下方の隅角部は視野が得られないので,リスクを考えて切断しない80(図103).議論7 舌側は歯質を約0.5 mm残す81.議論8 舌側下方の隅角は残す.5分の4を切断し,歯冠分割後に歯冠が除去できなければラウンドバーを使用する82.推奨 筆者は舌側4分の3の位置を目安とし,確認後に5分の4まで切断するが,舌側下方の隅角は残す.その後はヘーベルにて分割し,歯冠が除去できなければ追加してバーを使用している.■傾向として,外国では分割はある程度に留め,ヘーベルの挿入と回転により分割するのに対して,わが国ではぎりぎりまでバーで分割する傾向にあるといえる.これは,顎骨の大きさや開口度の違いに影響されているのであろうか?■また,歯冠分割時には舌側に手を添えることが必要である.すなわち,歯の分割時にはつねに下顎舌側板の穿孔に気をつける.■分割する歯冠は上開き形態にする34,47(図104).■歯冠部切断の方向は,タービンヘッドを遠心に傾けて上下に振動させる75(図105).■また,切断する平面上で扇形を描くようにタービンヘッドを動かし,はじめはやや寝かせ気味に切り込み,ある程度切りこんだらヘッドを立てる(図106 *参考文献36・53頁より引用・改変).舌側頬側図103 舌側下方隅角部.矢印部が切断しにくいところ.*参考文献80より引用・改変図105a, b 歯冠部切断の方向.遠心に傾けて上下に振動させる.*参考文献75・36頁より引用・改変ba図104a,b 水平埋伏歯の分割法.分割する歯冠は上開き形態にする.*参考文献34・84頁,参考文献47・281頁より引用・改変ba

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