ノンメタルクラスプデンチャー
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PART 2 ノンメタルクラスプデンチャーの製作テクニック044CHAPTER5ノンメタルクラスプデンチャーの設計②義歯が動かないようにするために ノンメタルクラスプデンチャーといえども,原則はパーシャルデンチャーの設計の考え方に則って行う必要がある.とくに義歯の動きを抑えることは,機能の回復と残存歯の保全のために大切である.このCHAPTERではノンメタルクラスプデンチャーを設計するにあたって,どのように動きを止めることを考えたらよいかについて解説する.introduction & abstract レジンクラスプ自体には,維持効果とともに弱いながらも把持効果があるため,咬合支持・支台歯・顎堤・咬合力などの条件が整っていれば,ある程度の期間は機能することも少なくない.しかし,金属構造物のない剛性のないノンメタルクラスプデンチャーは,機能時にさまざまな動きが起こる1(図1).この動きはとくに遊離端義歯では大きく,結果的に直接支台装置や顎堤に過重負担が起こる. さらに把持の効果が十分でないレジンクラスプでは,人工歯部への機能負担が続くことによって,しだいに義歯と支台歯の位置関係がずれることにもなる.また,これら頬舌的・水平的な動きによってレジンクラスプの弾性疲労が起こり,維持力の低下をまねくことになる. CHAPTER 4で述べたように,残存歯や顎堤の保全を考えた場合には,ノンメタルクラスプデンチャーは動かないように設計しなければならない.そのために対合関係,咬合力,支台歯や顎堤の状態を十分把握して,設計を考えなければならない.図1 連結子に剛性のない義歯は,機能力によって支台歯と顎堤が過重負担になり,反対側には力が伝達されない.ねじれ顎堤が荷重負担支台歯が荷重負担

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