学びなおし EBM
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115PART 4研究デザイン別・臨床論文の読みどころ SRと混同しやすい用語として、メタアナリシスが挙げられる。メタアナリシスとは複数の研究から得られた結果の数値を統計学的手法にて統合することであり、SRが提唱されるよりも以前から用いられている方法である。 メタアナリシスは結果が数値にて示されている場合のみに適応可能であるのに対し、SRは系統的に文献を検索・分析・統合するものであるため、質的研究にも適応可能である。メタアナリシスにて数値が統計学的に統合されていたとしても、その方法が系統的でないとSRとはいえない(図2)。 質の高いSR作成の手引書であるコクラン・ハンドブック*2に掲載されているSRの具備条件を以下に示す。これらを満たさないものは、厳密にはSRとは呼べない。◦目的が明確であり、事前に決められた組み入れ基準に沿って論文を収載したもの。◦方法論が明確、かつ再現可能であるもの。◦論文の網羅的な検索を行っているもの。◦組み入れた論文の妥当性を評価しているもの(例;リスクオブバイアスの評価*3)。◦組み入れた論文の特色ならびに結果を体系的に提示、統合しているもの。図2 メタアナリシス≠システマティック・レビュー。システマティック・レビューとメタアナリシスは同じもの?システマティック・レビューの特徴レビューメタアナリシスシステマティックレビュー大きなサンプル数およびイベント数が得られる。ゆえに個々の研究が同質で、質が高ければ、分析・統合されたSRの信頼性は高いといわれ、エビデンスヒエラルキーにおいて最上に位置づけられてきた*1。 また、系統的な検索を行ったものの、十分な数の研究がみつからなかった場合には、今後どのような研究が必要かを指し示す役割もある。*1エビデンスヒエラルキーは、エビデンスの質を表すものではない。*2コクラン・ハンドブックについては124ページ参照。*3リスクオブバイアスについては50ページ参照。

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