口腔外科ハンドマニュアル'15
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ChapterFOCUS ON ADVANCED ORAL SURGERY5専門医・認定医のための外科手術・集中講座 2014年4月より,コーンビーム型コンピュータ断層撮影装置(CBCT)とマイクロスコープ(手術用実体顕微鏡)を使用すると,歯根端切除術の保険点数が異なることとなった.多くの口腔外科医が,これに違和感があるのではないだろうか. ある口腔外科医は,「自分の歯根端切除術の治療成績は良いので,今さらCBCTやマイクロスコープを使用しなくてもよい」と思ったであろう.ある口腔外科医は,「歯根端切除術の治療成績は,それほど高くなく,どうせ抜歯する症例も多いので,変わらないのではないか」と思ったであろう. そこで本稿では,機器の紹介でなく,これらの機器が必要である真の理由を解説する.3つの基本コンセプトFOCUS 本稿を理解するために,3つの基本コンセプトを提示するので,受け入れるかどうかは別として,筆者らの意見として理解してほしい.そして,CBCT,マイクロスコープなどの機器は,このコンセプトを実践するための道具にしかすぎないことを知ってほしい.1)術前・術中診断を正確に すべての口腔外科医が同意見であろう.これらの診断をCTやマイクロスコープを使わなくても,正確に行える口腔外科医もいるが,マイクロスコープを利用したときの術前・術中の破折の診断,CBCTを利用したときに,多根歯のどの根・根管が根尖病変の主体かを正確に把握することが容易なのは,言うまでもない1.2)病気の根源(細菌)は,歯根の中に存在する 根尖病変の原因として細菌を考えない歯科医師はいないと思う.しかし,根尖病変内か根管内のどちらの細菌がもっとも重要であるか,その考え方の差が問題となる.本稿では,根管内の細菌が根尖病変の原因であると考えている.もちろん,できる限り根尖病変を除去することが大切なのは,言うまでもない.3)臨床的な,エビデンスがない “CBCTとマイクロスコープを利用した歯根端切除術は,利用しない場合と比較して有用”とする,対照と比較している臨床研究(システマティックレビュー)が少ないことを明記しておく.湯浅秀道1/吉岡隆知2/青木伸二郎31 独立行政法人国立病院機構 豊橋医療センター歯科口腔外科 連絡先:〒440‐8510 愛知県豊橋市飯村町字浜道上50番地2 東京都開業 根管治療 専門 吉岡デンタルオフィス 連絡先:〒101‐0062 東京都千代田区神田駿河台2‐3‐133 神奈川県開業 あおき歯科口腔外科クリニック 連絡先:〒249‐0006 神奈川県逗子市逗子1‐6‐27 ピアーズ2FHidemichi Yuasa1, Takatomo Yoshioka2, Shinjiro Aoki31 Department of Oral and Maxillofacial Surgery, National Hospital Organization Toyohashi Medical Center address:50, Hamamichigami-aza, Imure-cho, Toyohashi-shi, Aichi 440-85102 Yoshioka Dental Office address:2-3-13, Kanda-surugadai, Chiyoda-ku, Tokyo 101-00623 Aoki Dental and Oral Surgery Clinic address:Pierz bildg. 2F, 1-6-27, Zushi, Zushi-shi, Kanagawa 249-0006For Success of Apicoectomy −True Reason for Using the CBCT and Microscope−歯根端切除術の予後を向上させるためにCBCTとマイクロスコープが必要である本当の理由178

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