オーラル・インプラント・リハビリテーション・シリーズ Vol.2
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食道を経て胃に達するまでのすべての過程をいう2)。 一般に摂食・嚥下の段階は5期に分類され、そのステージごとに役割があり、健常な状態では、これら一連の動作が関連筋肉および支配神経、生理的反射により円滑に行われている(表4.2.2)。Ⅰ:認知期・先行期 食物を視覚、聴覚、臭覚などをとおして認識すると、味や硬さなどを連想して唾液や胃液の分泌が起こる。煮込んだ食物は摂食、嚥下しやすい一方、弾力のある食物の摂取にはある程度の適応が必要。生野菜のうち、特にレタスなどの葉物類の咀嚼にも適応が必要である。表4.2.1 筆者らの食事指導の一例図4.2.5 顎の倦怠感に対するトレーニング“下顎を前方、左右に突き出すトレーニング-顎の倦怠感-”。咀嚼能力の向上とともに下顎運動は三次元的により複雑な動きを始める。この際には、おもに外側翼突筋および側頭筋が動作するが、それにともない、顎の倦怠感やだるさを訴える場合がある。顎を前方、左右に動作させることで、口輪筋、口唇の挙上筋を含めたトレーニングが行える(オーラル・インプラント・リハビリテーション・シリーズ Vol.1より引用・改変)。①下顎を前方に突き出した側面観。②右に下顎を突き出す。③左に下顎を突き出す。図4.2.6a、b “下顎を前方、左右に突き出すトレーニング”が関与する筋肉。前方運動時に外側翼突筋、後方運動時には側頭筋、左側方運動時には右外側翼突筋と左側頭筋が使用される。外側翼突筋、上腹外側翼突筋、下腹外側靭帯Radlanski RJ, Wesker KH. グラフィックス フェイス 臨床解剖図譜.東京:クインテッセンス出版,2013;305.より引用・改変側頭筋茎状突起咬筋側頭筋咬筋Radlanski RJ, Wesker KH. グラフィックス フェイス 臨床解剖図譜.東京:クインテッセンス出版,2013;301.より引用・改変食事適応順序魚類煮魚→焼き魚→刺身、貝類、アワビなど肉類ハンバーグ→焼肉→ステーキ、ホルモン系など野菜類煮物→炒め物→生野菜72Oral Implant Rehabilitation Series4章 ファイナルレストレーション装着後の口腔周囲筋ケアの実践

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