オーラル・インプラント・リハビリテーション・シリーズ Vol.2
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5.1.4インプラント上部構造に特有の デザイン “Individual Crown” フレーム部分に歯冠または歯肉部材料を直接築盛または焼き付けることにより一体型とする通常の上部構造とは異なり、フレームおよび歯肉部分を中間構造体(Substructure)とし、歯冠部分を個別に製作する方法である。これにより、歯冠部分をさまざまな材料を用いて製作することができ、それぞれのマテリアルの利点をさらに活かすことができる(図5.1.11)。 また、歯冠部の製作においても、すべてを単冠処理にする場合のみならず、意図する部位を連冠処理して製作する場合や、一部のみをIndividualタイプで製作することも可能であり、デザインおよび使用マテリアルはアイデア次第で多種多様のものとなる(図5.1.12)。 アクセスホールが審美的に問題となる場合であっても、アクセスホールは中間構造体に含めることにより、その上部は歯冠部分で被覆されることから、インプラント埋入位置の制約を受けにくく審美的に上部構造を製作することができる。 また、上部構造にチッピングや破折などのトラブルが生じた際にも、上部構造すべてを取り外す必要がなく、必要な箇所のみの取り外しや、修理・再製作の対応が可能となる(図5.1.13)。 Individual Crownによる製作方法の場合、マテリアルそれぞれの利点を生かし、CAD/CAM技術を駆使すると、図5.1.14のような審美的上部構造の製作も可能となる。中間構造体には、ジルコニアフレームを製作し歯肉(ガム)部を築盛、歯冠部分にはすぐれた物性を備える歯冠材料として現在用いられる2ケイ酸リチウムガラスセラミックブロックから削り出し製作したクラウンを装着する。万一、歯冠部にトラブルが生じた場合には、該当部分のデータさえあれば印象操作すらなく、しかも簡便に対応も可能となる。図5.1.11a~e Individual Crownタイプによる上部構造。フレームおよび歯肉部分を中間構造体とし、歯冠部分を個別に製作。これによりそれぞれのマテリアルの利点をさらに活用できる。現在では、シロナ社のセレックシステムの使用により、満足度の高いIndividual Crownを安価で精密に短時間で製作できるようになってきた。図5.1.12a~c 歯冠部の様式は、目的に応じて多種多様なものとなる。badacebcMCXLプレミアム5章 長期的観点から見たインプラント補綴の上部構造の材料、設計および装着方法92Oral Implant Rehabilitation Series

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