ITI Treatment Guide Volume8
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9.2.1 埋入位置が不良なインプラントの撤去とGBR法による同時カントゥアオーグメンテーションを伴う新たなインプラント埋入Biological and Hardware Complications in Implant Dentistry137 臨床検査では、喪失した上顎右側側切歯の単独歯欠損と中切歯遠心面における軽度の歯肉退縮を認めた(図3)。粘膜は瘻孔の所見なく治癒していた。われわれは三次元(3D)での解剖学的状態を評価するため、コーンビームCT(以下CBCT)を用いてインプラント部位を診査した:インプラントは極端に唇側に埋入されており、X線的に唇側骨壁が認められなかった(図4a、b)。 この状況について患者と話し合い、3つの治療オプションを提示した。各オプションは、術中に最適な治療選択が決定できるようにオープンフラップ手術を含んだ。・オプション1:インプラントはそのままに、新しく唇側の骨壁を作るため、GBR法にて二度目の増生処置を行う。・オプション2:インプラントを撤去し、三次元的に正しい位置に新たなインプラントを埋入すると同時にGBR法にてカントゥアオーグメンテーションを行う。・オプション3:インプラントを撤去し、5ヵ月後に新たなインプラントを埋入できるようにGBR法にて局所的歯槽堤増生を行う。 外科処置は、鎮静剤前投薬を併用し局所麻酔下にて行われた。第一小臼歯遠心隅角部に縦切開を加えた三角粘膜弁(triangular ap)を翻転して術部を明示した(図5)。 全層弁翻転後、オッセオインテグレートしたインプラントが明示された;唇側骨壁はなかった(図6)。咬合面からもインプラントが極端に唇側に埋入されていることが確認できた。露出したインプラント表面は明らかに歯槽堤の外側に位置していた(図7)。露出したインプラント表面上に新たな唇側骨壁ができる見込みは薄いと思われた。図3 われわれの診療所での1回目の診査では、単独歯欠損を認め、歯肉縁下にインプラントが埋入されていた。隣接する中切歯部に軽度の歯肉退縮がみられた。図5 インプラント部は第一小臼歯遠心に縦切開を用い三角粘膜弁にて翻転された。図6 全層弁を挙上してインプラント部を露出した。オッセオインテグレートしたインプラント部の唇側骨壁がなかった。DBBM顆粒の残存がインプラント側面の骨表面に確認できた。図4a インプラント表面全体にわたり唇側骨壁の欠如を示すCBCTの口腔顔面断面像。図4b インプラントの唇側への位置不正と唇側の骨壁の欠如を示すCBCTの水平断面像。

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