ITI Treatment Guide Volume8
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9章 臨床ケース報告ITI Treatment Guide n Volume 8166 上顎の上部構造、下顎のクラウン、そしてオーバーデンチャーが装着された後、上顎に多少の炎症が再発した。歯科修復物に含まれる材料を分析したところ、オーバーデンチャーに用いられているクリップに少量のパラジウムが含まれていることがわかった。いったんクリップを取り除き、ニッケルとパラジウムを含有しない合金に置き換えたところ訴えは消失した。考察 この患者の問診にはいくつかの「赤旗(危険信号)」が認められた。彼女は絆創膏、プラスチック製の腕時計バンド、数種のブランドの体臭防止剤、ピーマン、ニッケルそして銀と金以外の他の金属に対するアレルギーを報告していた。 彼女はまた、銅製の子宮内避妊器具を使用していたが、これにはアレルギー反応を示していなかった;アンモニアおよび数種のブランドの合成洗剤に対しても、アレルギーの報告をしていた。 患者のニッケルに対するアレルギーを考慮すると、最初のヒーリングキャップからチタン製のキャップに交換した際の特異的な反応に対し、われわれはアレルギーをもっとも可能性の高い説明と考える。一方で、アレルギーの複数の徴候を有する患者に対しては、総合的なアレルギーテストを実施することが賢明であると思われる。特定のアレルギーテストをして初めて、彼女のパラジウムに対する過敏症を発見し、最初のヒーリングキャップもまたパラジウムを含有していたとわかった。AuPtCuZnAgPdCrMoCo上部構造861121クリップ684123103上顎義歯金属部分281062メタルセラミッククラウン596122メタルセラミッククラウン6841112メタルセラミッククラウン6/4831421表1 新たな修復物のEDX(エネルギー分散型X線)分析(%w/w)図5a、b 3ユニットのブリッジ(₆~₄)(a)、そして2本のシングルクラウン(₅₆)(b)。ba

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