オーラルリハビリテーション コンセンサス会議議事録
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37John B. Brunski 最適なインプラント数の生体力学的見解がインプラント4本や6本の場合の2本の遠心インプラント周囲の骨にかかるものよりも実際に小さい。同時に、Novum法の3本インプラントの前歯部インプラント周囲骨にかかる平均剪断応力は約1.4MPaであり、4本や6本インプラントの前歯部インプラントにかかる平均剪断応力よりも大きい。しかし、この平均剪断応力の絶対値は4本や6本インプラントの場合の遠心インプラントにかかる平均剪断応力よりも実際には小さい。 つまり、インプラント治療における「最適」の議論については骨中での界面応力の大きさを考えると(この論文で治療計画解析の段階3のところで先に推奨したように)、界面の剪断応力はインプラント4本や6本の状況よりもインプラント3本の状況のほうがやや小さいので、直径の大きなインプラントを3本用いた症例にいくつかの利点があることが明らかになる。この解析はおおよそのものであり、インプラント上のネジ山、骨接触面積、骨質などのような詳細については考慮されていないので、議論の要点ははっきりしている。例4:もともと5本以上のインプラントが計画されている上顎に5本のインプラントによる固定性補綴装置は適切であるか? これは、ある実際の患者の解析である(Kenji W. Higuchi先生の好意による、Spokane、WA、USA)。もともと埋入された7本のインプラントのうち2本に治癒の問題があり、残った5本のインプラントが上顎の補綴装置にふさわしいのかという議論が上がった(図6)。生体力学的観点からの課題としては、残りの5本のインプラントが補綴装置への荷重を支えるのにふさわしいのかどうか、前方部の右側(図6のX印がついているところ)に6番目のインプラントを再埋入したとしたら大きな違いが生まれるか(その後、最終補綴装置までに追加的な5〜6ヵ月の治癒期間が必要)、がある。 スカラックモデルでは、100Nの試験的な荷重を写真のインプラント3の部位にかけることで、5本と6本支持の補綴装置の比較が可能である(図6)。2つの治療計画に関する棒グラフから、各インプラントへの軸方向の力にはほとんど違いがないことがわかる。軸方向の力は5本のインプラントのほうが確かにやや大きいが、有意に大きくはない。この結果と荷重に関するその他のシミュレーションにより(ここでは紹介していない)、残りの5本のインプラントでMarius義歯を支持することになった。患者本人としてもこの段階で問題はなかった。5本のインプラント支持による補綴装置のもっとも前方部のインプラントに荷重をかけたときの各インプラントにかかる力の予測力(N)インプラント数1234570503010–10–30–50–70bac6本のインプラント支持によるブリッジのもっとも前方部のインプラントに荷重をかけたときの各インプラントにかかる力の予測インプラント数12345670503010–10–30–50–70力(N)図6 (a)7本のインプラントが予定されていたが、5本のみ骨ときちんと結合した症例の上顎の写真。(bとc)各インプラントにかかる軸方向の力の計算結果(スカラックモデル使用)によると、5本 (b)と6本 (c)のインプラントでほとんど違いがない。

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