YEARBOOK 2016
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別冊the Quintessence 「YEARBOOK 2016」 来院したら応急処置が必要であれば全力をあげて治療を行う.応急処置が失敗すれば患者の信頼を得ることはできない.応急処置が解決すれば,その後は患者とこれからの治療のスケジュールについて話し合う.患者との会話の1段階目は,患者が口腔の健康を本当に欲しているかどうかの確認である.患者が望む「口腔の健康の確立と維持増進」に対して互いに何をすればよいのかを話し合う.患者の役割と医療側の役割が果たせて初めて患者が望む「口腔の健康の確立と維持増進」が達成できる. 患者の役割とは,プラークコントロール,禁煙,シュガーコントロール,“力”のコントロ-ルなど,医療側の役割は,プラークコントロールなどの知識や技術がなければ提供する,患者ができない事柄,すなわち根管治療や修復処置,スケーリング・ルートプレーニングなどを行うことである.しかし,患者は医療側に問題点を解決してくださいと来院する.話し合いで「あなたが治療の主体者ですよ」,そうでなければあなたの望みである「口腔の健康の確立と維持増進」は達成できないことを理解させる.患者の考える治療を,治療の主体が医療側であるという考えから治療の主体は患者であるという考え方に180°転換させることが必要である. その転換をさせるには,患者の本心を聞きだすこ① 患者の態度などをよく観察する.② 患者から話を正確に聞き理解すること.③ できるだけオープンな質問をすること.④ 患者の答えを待つ.⑤ 患者の反応にむやみに同意したり,肯定したりしない.図1a 医院入口の外観.図1b カウンセリング的な対応.強い“力”が関与した重度慢性歯周炎の25年経過症例池田雅彦北海道開業 池田歯科クリニック連絡先:〒060‐0001 北海道札幌市中央区北1条西3丁目 札幌中央ビル9F1.私の診療スタイルと臨床方針図1a図1b102

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