YEARBOOK 2016
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別冊the Quintessence 「YEARBOOK 2016」強い“力”が関与した重度慢性歯周炎の25年経過症例とが必要である.そのためにはカウンセリング的対応(図1b)が重要である.その後,本人が治療の主体になることの経験として,本人のみで治療ができることを体験させる.たとえばスケーリングなどをしないで普通の歯ブラシで口腔内の変化を体験させることである.このように,患者自身が治療の主体であると理解してから積極的な治療に入る. 治療方針は,“力”が関与しているケースであるかどうかの診断を重要視している.“力”が関与しているケースでは,通常の治療に加えて“力”への対応が必要である.“力”が関与しているとわかっていても,“力”がどの程度関与しているのか,また“力”の種類が何であるのかを評価して“力”を患者データ年齢:51歳,性別:男性,初診:1987年9月主訴歯槽膿漏治療希望人となり高校の英語の教師.温厚でまじめな性格.既往歴2年間,北大の保存科に通っていた.歯ブラシ指導は受けていた.その他の治療内容は不明.歯周外科手術を勧められたが手術は行わなかった.歯科への関心度・協力度歯を何とか保存したい希望があり,歯科への関心度は高く,協力度も高い.治療に対する希望歯周病を治したいが,北大で手術の話をされた.だが,できるだけ手術はしたくない.どうにかならないか.その他,特記事項とくになし.著者データ臨床経験年数:42年 開業後:39年チェア数:7台スタッフの人数:歯科医師2名,歯科衛生士6名,歯科助手1名,受付1名,事務員1名2.患者の概要と初診時の状態考慮した治療を行う.さらにメインテナンスを重要と考えて初診時に近い段階からメインテナンスの重要性を患者に理解させている.メインテナンスは単に経過観察ではなくメインテナンスプログラムを作成して行う.“力”が関与している場合は“力”に関する事柄もメインテナンスプログラムに組み込む.103

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