薬剤・ビスフォスフォネート関連顎骨壊死
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33正確な症状を反映し,適切な患者の層別化を行うために,ステージングの変更は必要である(表2).2009年に,骨吸収抑制薬が投与されたためと思われる非特異的症状や,臨床的・エックス線学的異常をともなう患者をステージ0とすることが追加された.その時点では,ステージ0患者がさらに悪化したステージに進行するリスクについては不明であった.それから,ステージ0の患者の病期のステージングと治療法50%以上がステージ1〜3に進行するという症例報告が数例報告された175, 176.そのためステージ0は,前駆症状のある(非露出症例)患者を発見するためには,有効な病期であると思われる.また,露出骨の定義が広まり,ステージ1〜3で,皮膚や粘膜の瘻孔からプローブで骨を触知する場合も含まれた.他の研究では,骨の硬化像,継続的に残存する抜歯窩CHAPTER 2 MRONJに関する米国口腔顎顔面外科学会(AAOMS)ポジションペーパー2014年最新版1.ステージング2-12表2 ステージングとその治療法.MRONJ※ステージング治療法※※リスクを有する患者■明らかな骨壊死を認めないが,経口的または経静脈的に骨吸収抑制薬や血管新生阻害薬が投与されている患者■治療の必要はない.■患者教育ステージ0■壊死骨を認めないが,非特異的な臨床所見やエックス線学的変化や症状がある.■鎮痛薬,抗菌薬使用などの全身的管理ステージ1■無症状で感染をともなわない骨露出や骨壊死またはプローブで骨を触知できる瘻孔.■抗菌性洗口薬の使用■3か月ごとの経過観察■患者教育とビスフォスフォネート投与の適応についての再評価ステージ2■感染をともなう骨露出,骨壊死や骨壊死またはプローブで骨を触知できる瘻孔.■骨露出部に疼痛,発赤をともない,排膿がある場合と,ない場合がある.■抗菌薬による対症療法■抗菌性洗口薬の使用■疼痛コントロール■軟組織への刺激を軽減させるためのデブリードマンと感染対策ステージ3■疼痛,感染また1つ以上の下記の症状をともなう骨露出,骨壊死またはプローブで触知できる瘻孔.■歯槽骨を越えた骨露出,骨壊死(たとえば,下顎では下顎下縁や下顎枝にいたる.上顎では上顎洞,頬骨にいたる).その結果,病的骨折や口腔外瘻孔,鼻・上顎洞口腔瘻孔形成や下顎下縁や上顎洞までの進展性骨溶解.■抗菌性洗口薬の使用■抗菌療法と疼痛コントロール■感染ならびに疼痛を長期的に軽減させるための外科的デブリードマン/切除※顎骨の放射線療法の既往がない骨吸収抑制薬と/または血管新生阻害薬を投与された患者で,顎顔面領域に8週間以上治癒しない,骨露出やプローブで触知できる骨.※※病期に関係なく,分離した腐骨片は非病変部の骨を露出させることなく除去するべきである.露出壊死骨内の症状のある歯は,抜歯しても壊死過程が増悪することはないと思われるので,抜歯を考慮するべきである.

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