薬剤・ビスフォスフォネート関連顎骨壊死
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86顎骨壊死のリスク因子のある患者は,侵襲的外科的処置を行う場合には慎重に対応する.MRONJのリスク因子には,薬剤に関連した因子,局所的因子,全身的因子と併用薬,遺伝的因子がある(表4).悪性腫瘍患者のほうが骨粗鬆症患者に比較してリスクが高く,薬剤の種類や投与期間によりリスクは異なリスク因子の有無 □あり・□なし薬剤に関連した因子□(1)悪性腫瘍→悪性腫瘍患者のほうが,骨粗鬆症患者に比較してリスクが高い悪性腫瘍患者のMRONJの発生率ゾレドロネート約1%デノスマブ0.7〜1.9%ベバシズマブ(血管新生阻害薬)0.2%ベバシズマブ+ゾレドロネート0.9%骨粗鬆症患者のMRONJの発生率BP経口薬(海外の報告)0.00038〜0.004%(ただし,長期間服用では0.1%で,4年以上では0.21%に増加)BP経口薬(本邦の報告)0.01〜0.02%ゾレドロネート注射薬(日本未承認)0.017%デノスマブ0.04%□(2)長期間の薬剤投与→薬剤の投与期間が長くなると,リスクが高くなる悪性腫瘍患者のMRONJの経年的発生率(%)        1年  2年  3年ゾレドロネート 0.6  0.9  1.3デノスマブ   0.5  1.1  1.1骨粗鬆症患者のMRONJの経年的発生率(%)(BP経口薬を投与)2年未満ではほぼ0%4年を超えると0.21%に増加する(3)BPの種類□窒素含有BPのほうが,窒素非含有BPよりリスクが高い(CHAPTER 4 図2b参照)局所的因子(1)歯槽部外科手術□抜歯 抜歯後の顎骨壊死発生率は, BP経口薬を投与されている患者 0.5% BP静注薬を投与されたがん患者 1.6〜14.8%□歯科インプラントの埋入および除去術□口蓋および舌側骨隆起切除術□歯根端切除術□歯周外科処置(2)口腔環境□歯周病や根尖性歯周炎などの炎症性歯科疾患□口腔衛生状態の不良□義歯不適合による褥瘡性潰瘍(3)解剖学的要因□上顎より下顎に好発する   □下顎隆起,口蓋隆起全身的因子と併用薬□コルチコステロイド,血管新生阻害薬の併用投与は,MRONJのリスクを増加する.□年齢,性別,貧血,糖尿病,喫煙が,MRONJ発症リスクの増加と関連性があることについて一貫した報告はない.遺伝的因子□SNPs(single nucleotide polymorphism:一塩基多型)が,MRONJの発症と関連性がある.表4 MRONJリスク因子の評価のポイント(CHAPTER 2 2014年のAAOMSポジションペーパーを参考).BP:ビスフォスフォネート薬剤・ビスフォスフォネート関連顎骨壊死 MRONJ・BRONJリスク因子の評価5-2

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