薬剤・ビスフォスフォネート関連顎骨壊死
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92図7a 侵襲的歯科治療に関する対応.本邦のBRONJに対する改訂追補2012年版ポジションペーパーより.注:休薬によりBRONJが予防できることを示す明らかなエビデンスはない!悪性腫瘍患者骨粗鬆症患者投与3年未満,かつリスクファクターなし投与3年未満,しかしリスクファクターあり投与3年以上骨折リスクが高くない休薬が望ましい原則として休薬しない歯科治療口腔管理は1か月前後とされているので,歯科治療前の休薬の効果が期待できるかもしれない」としているが,休薬期間に関しては明記されていない.再開時期に関しては,歯科医師が抜歯窩の治癒状態を判定し,医師と相談する.証明するような研究報告はないため,現時点では,明確な基準はない(図8a~e).デノスマブは,ビスフォスフォネートと対照的に骨と結合せず(ビスフォスフォネートとデノスマブの作用機序の違いは,CHAPTER 4 図7参照),効果の大部分は投与中止後6か月以内に減少する.日本のポジションペーパーでは,「デノスマブの血中半減期侵襲的歯科治療に関する対応2012年の本邦ポジションペーパー図7b 侵襲的歯科治療に関する対応.*2014年のAAOMSポジションペーパーの本文よりチャートを作成.4年未満かつリスクファクターなし計画された手術の変更・延期は必要なし4年以上4年未満だが,コルチコステロイドまたは血管新生阻害薬を使用全身状態が許されるのであればビスフォスフォネート経口薬の服用期間が少なくとも手術前2か月間休薬手術後,骨治癒を確認したら再開2014年のAAOMSポジションペーパーpoint 抜歯時の注意点②■悪性腫瘍の治療目的で骨吸収抑制薬を投与されている患者の抜歯は,慎重に抜歯の適応を検討する.2014年のAAOMSポジションペーパーでは,「抜歯が原因で顎骨壊死が発生したという報告が多いが,たいていそれらの歯にはすでに歯周病または根尖性歯周炎が存在している」とある.明らかに保存不可能な歯まで抜歯を避けるという対応は再考されるべきであろう.■ポジションペーパーでは,ビスフォスフォネート経口薬の投与期間が3または4年以上がリスク因子となっているが,2年以下でも顎骨壊死を発生することもある.3または4年未満だから抜歯しても顎骨壊死が起こらないということではない.■骨吸収抑制薬(ビスフォスフォネート,デノスマブ)の休薬の有効性については,エビデンスは確立されていないが,長期間の投与やリスク因子がある場合には,医師に相談し,休薬を考慮する.薬剤・ビスフォスフォネート関連顎骨壊死 MRONJ・BRONJ

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