根管治療で失敗する本当の理由
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18PART 1 根管治療の基本染根管治療を実施している.このような不確実性の高い診断下では,自分が治療した症例がどのような経過をたどり,最終的に治癒させることができるのか心配である.そこで,臨床におけるさまざまな場面での診断と治療方針の決定に関するフローを提示したい(図2).さらに,臨床で悩む歯科医師の方々に「的確な診断や治療方針を決めるにはどうしたらよいか?」についてアドバイスするなら,数多くの症例(成功あり,失敗あり)をじっくり検証することがすすめられるであろう.失活歯感染根管治療覆髄または抜髄生活歯①問診(過去の痛みの有無) 疼痛既往を確認することは,歯髄の破壊の存在を示す重要な診断項目である.現在は痛みはないが過去に強い痛みがあった場合は,歯髄が強度の炎症を起こしているか,あるいは壊死していることが多い.②視診(変色の有無) う窩の大きさや歯の変色を観察することは,歯髄の状態を判定するうえで貴重な情報源となる.健康な状態からかけ離れていれば,それだけ歯髄が破壊されている可能性が高くなる.④打診(打診痛の有無) 壊死を有する歯髄では,打診痛が顕著となる.⑤温度診(反応の有無) 温度診に対する正常な反応は,歯に刺激を加えたときに起こり,それを取り除くとすぐに消失する.温度診に反応しないということは,歯髄が壊死しているということである.⑥電気診(反応の有無) 歯髄が壊死している場合は無反応であり,温度診でも反応しなければさらに明確となる.その際に,対照歯と比較して変化があることが重要となる.⑦エックス線診(透過像の有無) う蝕の発見や進行度,さらには歯髄腔との関係から歯髄炎の存在を予測することができる.さらにその病変が進行して壊死すれば,根尖部歯周組織に透過像となって確認される.⑧歯周ポケット深さ測定 ポケットが深くなればなるほど,ペリオ・エンド病変由来の歯髄壊死の可能性が高くなる.③触診(違和感の有無) 根尖相当部の粘膜を触知することで,根尖部歯周組織に異常があるかないかを推定できる.・・・・・・・+・・・・・・・+・・・・・・・-・・・・・・・-・・・・・・・+・・・・・・・+・・・・・・・+・・・・・・・+-・・・・・・・-・・・・・・・+・・・・・・・+・・・・・・・-・・・・・・・-・・・・・・・-・・・・・・・-・・・・・・・診査・診断を見誤らない図2 診断・治療ツリー.

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