文献と臨床のインプラントサイエンス
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12345677. Implant soft tissue management6. Computer aided surgery4. Implant overdenture3. Immediate implant placement2. Sinus augmentation1. Bone augmentation5. Implant follow-up43デジタル技術によるCAD/CAMデンチャーの可能性 田中譲治(千葉県開業)Bidra AS, Taylor TD, Agar JR. Computer-aided technology for fabricating complete dentures: systematic review of historical background, current status, and future perspectives. J Prosthet Dent 2013;109(6):361-366. 症例の概要 患者は77歳の女性。上下無歯顎で、咀嚼不良を主訴に来院。下顎においてメインテナンスしやすい磁性アタッチメントによるインプラントオーバーデンチャーを計画。新義歯製作にあたり、重合歪の解消など高い有用性が期待されるCAD/CAMを用いた。模型および咬合床のスキャンニングを行った後、削り出し加工機にて製作した。維持安定もよく経過良好。患者は、取り扱いが楽で機能的審美的にも満足している。 処置内容とその根拠 義歯製作でのCAD/CAM利用は良好な結果を得ることができ、さらなる発展が期待される。すなわち、さまざまな研究データを入力したソフト開発により簡便に理想的義歯設計ができる可能性や、CAMについては削り出し加工のみならず3Dプリンターの進歩により大幅な製作効率の向上が予想された。加えてCTとの重ね合せにより、顎堤を裏打ちしている顎骨の形態や上下顎骨関係をも考慮した設計法が用いられる可能性も示唆された。図1 骨幅が狭いため、磁性アタッチメント専用ミニインプラント(プラトンジャパン社)を使用。図2 ø2.6mmと細いため骨造成も必要なく、外科的侵襲の軽減ができ、またコストもかなり抑えられた。図3 免荷期間後模型および咬合床を三次元形状計測機Rex-can ARX(Solutionix社)を用いてスキャンニングする。図4 インプラントシミュレーションソフトBioNa®(和田精密歯研(株))によりバーチャル上で人工歯を排列する。図9 通法に従い口腔内で、義歯内面凹部にレジンキャップ付マグネットを取り付け完成される。図10 適合が非常に良く、ほぼ無調整で疼痛もなく経過良好。さまざまな優れた可能性が示唆された。図11 試適においては3DプリンターEDEN260(Stratasys社)により、精度の高い試適用義歯が簡便に製作可能となっている。図12 顎堤を裏打ちしている顎骨の形態や粘膜の厚さを基に、義歯排列を考えるという新しい考えが生まれようとしている。図5 義歯床は三次元的に形体を加工できるCADソフトFreeFormによりデザインした。図6 デザイン終了後、五軸切削加工機RXP500 DSC(Röders社)で削り出しを行う。図7 歯冠部と義歯床を別々のマテリアルにて削り出す。図8 削り出された義歯床と歯冠部をレジンセメントにて接着し完成となる。80

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