一般臨床家、口腔外科医のための口腔外科ハンドマニュアル’16
3/6

ChapterPARADIGM SHIFT OF DENTAL SURGERY FOR 10YEARS LATER11-巻頭アトラス 10年先を見据えて 口腔外科医療のパラダイムシフト特集1:歯科・口腔外科における再建治療の可能性 インプラント治療が社会的に認知されて以来,より快適で自然な外観で,早期に機能回復でき,かつ,長期安定性のすぐれたインプラント治療が求められるようになった.この目的を達成するためには,適切な術前診断に基づいた正確なインプラントポジション,インプラント周囲骨や軟組織のマネージメント,さらに審美性や清掃性を考慮したプロビジョナルレストレーションとインプラント上部構造などのすべての要件が満たされる必要がある.このなかで,軟組織の再建は,インプラント治療における審美性の改善や清掃性の向上を図るうえで,臨床上有効な手段として考えられている.本稿では,インプラント周囲粘膜の再建のなかで,とくに清掃性や自浄性の獲得について述べる.インプラント周囲軟組織の再建とはATLAS 一般に,インプラント周囲のsoft tissue managementは,インプラント周囲軟組織に対して行う有茎弁移植や上皮下結合組織移植・遊離歯肉移植などの外科的処置,さらには暫間補綴物を用いた軟組織の成型など,あらゆる処置法を包含した療法として臨床応用されている.一方,インプラント周囲軟組織の再建(tissue reconstruction)とは,厳密には前述のsoft tissue managementのうち,とくに外科的処置法を指した用語として考えられている.しかし,インプラント周囲軟組織の外科的再建のみでは,健康で長期安定性を有したインプラント治療を達成することは困難であるため,術前診断,インプラントポジション,インプラント周囲硬組織の再建,さらに暫間補綴装置などの,一連の処置のなかにインプラント周囲軟組織の再建が組み込まれ,インプラント周囲のsoft tissue managementとして臨床応用されているのが現状である.とくに成人における歯の欠損理由の多くが歯周病であることから考えても,インプラント治療を予定する部位の骨や角化粘膜が喪失していることが予測できるため,適切なインプラント治療を行うためには,インプラント周囲のsoft tissue managementの必要性は高いものと考えられる(図1).申 基喆明海大学歯学部口腔生物再生医工学講座歯周病学分野連絡先:〒350‐0283 埼玉県坂戸市けやき台1‐1Kitetsu ShinDivision of Periodontology, Department of Oral Biology and Tissue Engineering, School of Dentistry, Meikai University address: 1-1, Keyakidai, Sakado-shi, Saitama 350-0283インプラント周囲軟組織の再建Reconstruction of Peri-Implant Soft Tissue②歯科インプラント治療における再建40

元のページ 

page 3

※このページを正しく表示するにはFlashPlayer10.2以上が必要です