TMD・咬合のための重要12キーワード ベスト240論文
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講演や雑誌でよく見る、TMD・咬合の分類および文献Journal of Proshtetic Dentistryが7年に一度改訂・発行する米国歯科補綴用語集(Grossary of Prosth-odontic Terms: GPT)の最新版第8版(GPT-8[2005])での中心位の定義は唯一のものがなく、下記のように7つの定義が併記されている。5中心位(centric relation)出典 Academy of Denture Prosthetics. The glossary of prosthodontics terms, 8th ed. J Prosthet Dent 2005;94(1):10-92.解説者コメント:ナソロジー学派を設立したMcCollumは、「下顎頭は下顎窩内において最後退位にある」と中心位を定義したが、上図にみられるように、下顎頭の下顎窩内の位置は後上方位、最上方位、そして前上方位へと、下顎窩内で移動している。その後、中心位という用語を1つの定義に集約することができなかったため、GPT-6(1994)からは歴史上の7つの定義が併記されることとなった。出典 古谷野 潔(監著),山﨑長郎,前田芳信(編).別冊ザ・クインテッセンス 咬合YEAR BOOK 2016 咬合は変わったか.東京:クインテッセンス出版,2015.中心位の定義(下顎関節窩内の下顎頭の位置)の変遷A 最後退位:上顎に対する下顎の最後方位をとり、なおかつ下顎側方運動が可能な位置(このとき、蝶番軸を中心とした純粋な回転運動が行われ、再現性が高いと考えられた)。B 後上方位:下顎頭が下顎窩内で後上方位にある位置(下顎頭を後方に押さえただけでは下顎窩内で安定した位置に固定できないとされた)。C 最上方位:下顎頭が下顎窩内の中央で最上方にある位置。D 前上方位:下顎頭が下顎窩内で関節円板のもっとも薄い部分と対合し、関節結節の斜面と向き合う前上方の位置。Centric relation136❶ 下顎頭が下顎窩内で関節円板の最も薄く血管のない部分に対合し、関節結節の斜面と向き合う前上方の位置(GPT-5)❷ 上顎に対して下顎が最後方位をとり、そこから側方運動が可能で、かつ終末蝶番運動軸を中心としてある程度上下顎が離開することが可能な位置(GPT-3)❸ 下顎頭が下顎窩内で緊張のない最後方位をとり、そこから無理なく下顎側方運動が行える顎位(GPT-1)❹ 一定の垂直的位置関係において側方運動が可能な上顎に対する下顎の最後方位❺ 下顎頭と関節円板が最中央で最上方にあるときの上下顎の関係❻ 下顎頭が下顎窩内で最上方で最後方位にあるときの顎位❼ 下顎頭を前最上方に位置させて臨床的に決定される下顎位

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