顔面成長発育の基礎
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66第1部 Enlowの顔面成長に関する基礎的事項下顎枝の後方への骨改造移動は、基本的に二次元の図として示される(図2-3)。これは単に不十分なだけでなく不正確な説明である。従来の二次元の頭部X線規格写真やそのトレースでは、下顎枝や下顎体の転位や骨改造過程に関与する解剖学的主要部位を示すことができないことが問題となる。いくつかのそのような構造のうち、舌側結節はその代表的部位である。舌側結節舌側結節は上顎結節と解剖学的に対応する部位であるため重要である(図4-2)。上顎結節が上顎弓の骨の主要成長発育部位であるように、舌側結節は、下顎骨の主要成長発育部位である。しかし、この構造部位は、頭部X線規格写真に関する基本用語にさえも含まれていない。その理由は、単に側面および正面頭部X線規格写真では確認できないためである。これは頭部X線規格写真計測法の限界の1つであるが、頭蓋顔面の診断と治療計画に、三次元コーンビームCTを導入することによって克服できる。舌側結節は主要な骨改造成長発育の場であるのみならず、下顎骨の2つの基本部位、下顎枝と下顎体の実効上の図4-1下顎骨の成長を示す概略図。骨外膜性吸収が関連した成長方向は、骨表面に対し内側に向く矢印によって示す。骨外膜性添加が関連した成長方向は、骨表面に対し外側に向く矢印で示す。(Enlow, D.H., D.B.Harris:『ヒトにおける出生後の下顎骨成長[A study of the postnatal growth of the human mandible]』から引用.Am. J. Orthod., 50:25, 1964[許可取得済])

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