顔面成長発育の基礎
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124第1部 Enlowの顔面成長に関する基礎的事項前に指摘したとおり、縫合部の成長発育だけでは、必要とする頭蓋窩の成長発育は望めない。いろいろな縫合部での骨添加に加えて、直接的な骨皮質の著しい骨改造も起こる(図6-11)。もっとも、前額部の半分より上の部分の頭蓋内側では、吸収よりむしろ骨添加が起こっている。頭蓋内側を一巡している逆転線は、吸収性を示す頭蓋底部(basic-ranium)と添加性を示す頭蓋冠の部分とを区別している(図6-1矢印参照)。前頭葉が成長発育するにつれて、前額部内壁は前方に骨改造していく。前頭葉の成長発育が遅くなりほとんど止まってしまう(図6-11)。6歳ごろより少し前の時期には、この内壁の成長発育の程度も少なくなったり、止まってしまうと内面の成長発育も止まる。しかし、外壁は前方に向かってドリフトし続ける(図6-12)。こうして内外両壁はどんどん離れていって、結果として海綿骨髄膜(板間層)吸収により前頭洞が拡大していく。しかし、洞の大きさ、前額部の傾斜の程度は、年齢、性、頭部の形状によってかなり異なっている(第8章参照)。前頭洞の成長発育する理由は、鼻上顎複合体上部が前方に成長発育し続け、前額部外壁がこれにつれて前方に骨改造するからである。図6-10((b) Enlow, D. H.:『ヒトの顔(The Human Face)』から引用.New York, Harper & Row, 1968,[許可取得済])ba751446233

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