オーラル・インプラント・リハビリテーション・シリーズ Vol.3
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0.40.20-0.2-0.4-0.6-0.8-1-1.2-1.4【全体】【男性】【女性】舌厚Z値[ー]舌圧ガム咀嚼デイアドコ(滑舌)義歯装着残存歯数65‐69(n=650)70‐74(n=649)75‐79(n=455)80‐(n=290)70‐74(n=328)75‐79(n=227)80‐(n=151)65‐69(n=308)70‐74(n=321)75‐79(n=228)80‐(n=139)65‐69(n=342)義理装着の有無(下顎)残存歯数ガム咀嚼(平均値)咬合力(N)オーラルディアドコキネシス_力(回/秒)舌圧(kPa)(平均値)舌厚(mm)(平均値)RSST1回目(秒)GOHAI合計点いるが、対応できていないのが現状である。このため、早期の段階で歯を失ったり、咀嚼できないことが今後大きな問題につながることを認識させる必要がある。 さらに歯科口腔機能だけに注目し、各調査項目に対して5歳きざみの加齢変化をZスコアとして図1.2.4に示す5)。予想どおりに男女ともに残存歯数が著名に加齢変化を取りやすく、続いて義歯装着(下顎)の有無、オーラルディアドコキネシス(パタカ)、ガム咀嚼による総合咀嚼力、舌圧などが顕著な加齢変化を示した。1.2.3要介護度と口腔機能の関係1.2.3.1 介護が必要となる原因 国民生活基礎調査6)によると、介護が必要となった主な原因の1位は、脳血管疾患(20%)、2位は認知症(17%)、3位は高齢による衰弱(13%)、4位は骨折・転倒(12%)、図1.2.4 柏スタディでの歯科口腔機能における加齢変化。65-69歳のデータを基準とし、加齢の影響でどれだけ低下しているか。65-69歳の平均値、標準偏差を用いたZ値。(式例):70-74歳の値の求め方{(70-74mean)-(65-69mean)/(65-69SD)}。飯島勝矢. 虚弱・サルコペニア予防における医科歯科連携の重要性:新概念『オーラル・フレイル』から高齢者の食力の維持・向上を目指す. 補綴誌 2015;7:92-101.より引用・改変5)。5位は関節疾患(11%)となっている(図1.2.5)。また、日本における死亡原因(平成25年人口動態統計)のトップ3は、悪性新生物(がん)、心疾患、肺炎であり、死因と介護が必要となる原因は大きく異なることがわかる。 それを裏づけるデータとして図1.2.3には、加齢にともなう自立度の変化パターンが男女別に示されている。男性の約1割には自立度がほとんど落ちない、いわゆる「スーパーおじいちゃん」といった元気な群がおり、約2割は70代前半までに自立度が落ちてしまう群、そしてその他は徐々に自立度が落ちる群に分類される。また、女性では、約9割が徐々に自立度が落ちていることがわかる。この自立度の変化パターンを示すものとしては、急激に自立度が落ちるような脳血管疾患などに対する予防や、徐々に自立度の落ちることが多い虚弱や認知症および骨折・転倒などへの対応に留意していくことで、健康寿命の延伸に寄与できると考えられる。19Oral Implant Rehabilitation Series1.2 NCDsとオーラル・フレイルおよびサルコペニアの関係

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