オーラル・インプラント・リハビリテーション・シリーズ Vol.3
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症例2-a①~⑨ 患者は初診時68歳、女性。下顎義歯が骨隆起のため咬合時に痛みがあり咀嚼が困難である。舌が動作しにくく発音に障害をともなう(①~③)。上顎は保存不可能であったため抜歯、下顎は骨隆起の削除を行い、上顎には5本、下顎には4本の即時荷重インプラントを埋入(④)。垂直顎間距離をプロビジョナルレストレーションで確保(⑤)。舌の筋機能訓練を行い、咀嚼力、舌の動作を改善する(⑥)。この状態であると最終補綴物のアクセスホールが頬側に出てくるので、審美性の回復と治療後の取り外しを考慮して2112にはジルコニア冠を選択。破折・破損に備えた(⑦、⑧)。嚥下力が回復したために、オトガイ筋部のシワがなくなった。また、鼻唇が短縮し口輪筋、頬筋が動作するために、豊麗線は消失している(⑨)。増加した垂直顎間距離や安静空隙に対する筋肉の組織の順応が考えられる。筋繊維の伸張と再配列が生じる。症例2-b①~⑥ 術前垂直顎間距離が歯の喪失により短縮している。プロビジョナルレストレーションにより舌が十分な動作を行う空間を確保し、舌を上方に運動させ、首をゆっくりと後方に傾斜させるトレーニングを行うことで、首の前方、下方を支える筋力を付けさせ、顔表情筋、姿勢の回復を行った。顔輪筋周囲の引き締めも行える。症例供覧①④⑦②⑤⑧③⑥⑨①②③④⑤⑥96Oral Implant Rehabilitation Series4章 インプラントの上部構造はいつ、どこが壊れるのか?

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