ジャパニーズ エステティック デンティストリー 2016/2017
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Full mouth reconstruction with super translucent zirconia: a case report今回用いた材料について 筆者が今回選択したのは、カタナジルコニアSTML(クラレノリタケデンタル,モリタ)である。この新製品には、審美性の改善を意識して作られた従来製品のカタナジルコニアHTシリーズやMLシリーズよりも約1.4倍(メーカー資料はじめに 「白いメタル」という華々しい呼び声とともに、ジルコニアが日本の歯科臨床で応用されるようになってから10年あまりの歳月が経過した。当初はろう着が行えないことあるいは適合の難しさや、そしていわゆる低温劣化の問題などが取り沙汰されることもあったが、おおむね良好な経過をたどっていることは周知である。しかし、その応用範囲が広がるにつれ、「白いメタル」という言葉が別の意味をもつようになってきた。すなわち、「白い材料ではあるが、メタルと同じように光を透過しない」という問題の出現である。そもそもフレーによる)の透光性が付与され、よりいっそう審美性が追求されている。なお、このSTMLはシリーズ中でも透光性が低いタイプ(臼歯部や支台歯色の濃い場合に使用)であり、より高い透光性をもつUTMLも発売されている(前歯部やラミム材料として登場したジルコニアではあるが、時代の流れとともにモノリシックな使用法が追求されるようになってきたのは当然の流れではある。これを受け、ジルコニアへの光透過性の付与に関する研究が進み、アルミナなど各種添加物の比率をコントロールすることで、強度はわずかに犠牲にしながらも、モノリシックレストレーションとして審美的に満足できる材料が次々に登場してきた。そこで本稿では、その中からクラレノリタケデンタル社の最新製品を用いた症例を供覧し、現在の審美修復材料の最先端についてお伝えする。Fig 1 IPS e.max Press LT(Ivoclar Vivadent)と、カタナジルコニアシリーズ(クラレノリタケデンタル,モリタ)および他社ジルコニアブロックの透光性と曲げ強さを比較したグラフ。今回使用したカタナジルコニアSTMLは、ラインナップの中でも強度と透光性のバランスがとれた製品であることがわかる。e.max Press LTKatana Zr UTMLKZR-CAD Zr SHTKatana Zr STMLBellezza HT-VKatana Zr HTMLAadva ElBluxZirKatana Zr KT13THE JAPANESE JOURNAL OF ESTHETIC DENTISTRYISSUE 2016/2017

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