YEARBOOK 2017 最新エンドのグローバルスタンダード
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エンド治療のグローバルスタンダード─基礎から臨床まで 根管治療では,細菌感染した根管内の歯髄,歯質や壊死組織を除去することが重要であるが,臨床ではとくに大臼歯の根管の解剖形態が複雑であり,判断に迷うことが多い. 2011年,Songらは557症例の外科的歯内療法中にその根管治療の失敗の原因を歯科用実体顕微鏡にて観察した.その結果,もっとも多い根管治療失敗の原因は根管の漏洩(30.4%)であり,2番目に根管の見落とし(19.7%)であった.また根管の見落としは上顎大臼歯で45.9%,下顎大臼歯で30.9%ともっとも多い根管治療の失敗の原因となっていた.根管の見落としは壊死歯髄や細菌等の感染源を大量に見落とすことでもあり,他の根管がいくら十分治療されていても,根管治療の失敗となる可能性がある.さらに外科的歯内療法においても根尖方向から根管全体の感染源の除去を行うことは困難であり,まず通常の根管治療にて感染源である根管を見落とさないように努めることは根管治療の原則である. 根管を見落さないためには根管の解剖学的形態の特徴を把握することは重要であるが,近年歯科用顕微鏡および歯科用コーンビームCT(以下,CBCTと略)を用いた根管形態の観察および評価が世界的な標準となりつつあり,根管の見落としによる失敗は着実に少なくなってきている. 著者データ ☞臨床形態:大学☞卒業大学:東京医科歯科大学(2000年卒業)☞現在の所属:東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科歯髄生物学分野(2000年入局)☞診療理念:優れた医療人の育成に努め,患者1人ひとりに合った最高水準の歯科医療を提供する.☞1日の平均来院患者数と内訳:むし歯外来(エンド)/1日平均約150名(治療:メインテナンス=8:2)☞スタッフの人数構成と勤務年数:むし歯外来(エンド)/歯科医師39名(2~33年),歯科衛生士7名(1~28年),歯科助手4名(1~4年)☞チェア数:むし歯外来(エンド)/16台1はじめに大臼歯根管の解剖学的形態の特徴ABCDEFG渡辺 聡 Satoshi Watanabe東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科歯髄生物学分野連絡先:〒113‐8510 東京都文京区湯島1‐5‐4522別冊the Quintessence 「YEARBOOK 2017」PART2

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