天然歯審美修復のセオリー図解Q&A
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32キーワード: AnswerQuestion1.ホワイトニング編残存歯質厚み、充填材除去、封鎖日常臨床において、歯の変色を主訴とする歯科医院への受診は増加しており、なかでも医原性の二次疾患であるテトラサイクリンや失活歯変色や修復物変色は累計で全体の8割を占め1、歯の変色による日常生活での心理的負担は大きいことが予想できます。なかでも失活歯の変色は単独歯であることが多く、隣在歯と比較されやすい状況下にあり、改善を望む患者も少なくありません。基本術式は成書を参照していただくとして、本稿ではウォーキングブリーチ法(図1)2の臨床的なポイントを解説していきます。相談者:A. A.さん30歳、勤務医失活歯の変色にウォーキングブリーチ法を施術しました。多少の変化はあるのですが、あまり効果はありません。何か気をつけるポイントはありますか?ウォーキングブリーチの効果と注意点しっかりとアクセスオープニングと充填物を除去しましょうPoint1 まず、第一に施術前の根管充填の状態をエックス線写真で確認することが重要です。根尖病変があるようでしたら再根管治療が必要となります。また、薬剤の漏洩リスクもありますので緊密な充填を心がけましょう。 つぎに不適切なアクセスキャビティによる歯髄組織の残渣は変色の原因になるため、歯髄残渣の完全な除去をめざします(図2a、b)。さらには、コンポジットレジン(以下、CRと略)充填が唇側歯質に残留している場合は漂白効果が望めませんので確実に除去します。色調が近似していて確認しにくい場合は、エアをかけて白濁感を確認後、歯質の厚みを考慮しながら慎重に削合していきましょう。根管充填材の除去は歯頸部から約2mm下までが目安ですが、実際の変色部位をプローブで確認しながら行います(図3a、b)。粒子を潰してペースト状にすることがポイントです(図4)。このとき、過酸化水素が手指や粘膜に触れると刺激痛があるためグローブを着用し、必要であればラバーダム防湿を行います。誤って粘膜に接した場合はすぐ洗浄しましょう。薬剤を緊密に充填するため、根尖から唇側にかけて綿球で圧接していきます(図5)。 適切な窩洞形成ができたら漏洩防止のバリアをセメントで行い、薬剤を充填します。薬剤は過ホウ酸ナトリウムと30%過酸化水素水を使用し、金属酸化物による変色を避けるため金属スパチャラは使用せずにプラスチックスパチュラでガラス練板上で練和します。体積比は過酸化水素1、過ホウ酸ナトリウム3の割合でよく練り込み、適切な練和状態で速やかに薬剤を充填しましょうPoint2山﨑 治 回答者 004

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