歯科衛生士のための臨床歯周病学のエビデンス活用BOOK
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 口腔衛生中止後、10~20日間で被験者の平均プラーク指数(表1)は0.43から1.67に増加した(表2)。それにともない、平均歯肉炎指数(表3)も0.27から1.05に増加した(表4)。実験開始直後では、プラーク細菌について球菌と短桿菌が多くみられたが、2~4日後には線主な結果対照群のない観察研究であり、方法論が確立された現在から考えるとクオリティが高いとは言えないが、プラークにより実際に歯肉炎が発症することを証明したという意味で重要な論文である。被験者数はどのぐらいか12人今回の研究は……比較対象が存在するかNo被験者全員に対し口腔衛生中止を指示グループ分けがランダムにされているかNo盲検化されているかNo状菌や長桿菌が増え、6~10日後にはスピロヘータやビブリオが出現するようになった。口腔衛生を再開したところ、5~10日目後には平均プラーク指数は0.17(表2)、平均歯肉炎指数は0.11まで減少した(表4)。また、プラーク細菌も球菌と短桿菌が再び優勢となった。表1 プラーク指数の定義スコア基準0プラークの付着がまったくない1染色したりプローブを使用した場合のみ、歯肉辺縁や隣接面にプラークの付着が認められる2歯周ポケットや歯肉辺縁上に肉眼で視認できるほどのプラークの付着が少量ある3歯周ポケットや歯肉辺縁上に多量のプラークが付着している(文献3より引用改変)表3 当時の歯肉炎指数の定義スコア基準0炎症がまったくない1軽度の炎症―歯肉の色や質感にわずかな変化がみられる2中等度の炎症―グレージング、発赤、浮腫、肥大がわずかにみられ、加圧時に出血する3重度の炎症―著しい発赤や肥大がみられ、自然出血する。潰瘍がある場合もある(文献4より引用改変)ここをメモ!口腔衛生の有無で数値に明らかな差があります!ここをメモ!口腔衛生の有無で数値に明らかな差があります!表2 各時点でのプラーク指数被験者番号研究開始時口腔衛生中止後の最終結果口腔衛生再開後の最終結果10.762.000.1720.951.990.1130.541.820.2140.231.460.0650.581.600.1860.171.420.0270.601.640.1980.331.400.2890.351.580.10100.111.790.05110.001.640.50120.521.810.14平均値0.431.670.17表4 各時点での歯肉炎指数被験者番号研究開始時口腔衛生中止後の最終結果口腔衛生再開後の最終結果10.491.230.1120.411.230.0930.150.920.1340.020.960.0250.240.900.1260.171.050.0770.431.120.1480.150.990.1690.080.900.06100.691.120.02110.380.980.29120.071.230.10平均値0.271.050.1119

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