歯科衛生士のための臨床歯周病学のエビデンス活用BOOK
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〈Evidence 1の引用文献〉1.SCHERP HW. CURRENT CONCEPTS IN PERIODONTAL DISEASE RESEARCH: EPIDEMIOLOGICAL CONTRIBUTIONS. J Am Dent Assoc 1964;68:667-675.2.Loe H, Theilade E, Hensen SB. Experimental gingivitis in man. J Periodontol 1965;36(5-6):177-189.3.Silness J, Löe H. PERIODONTAL DISEASE IN PREGNANCY. II. CORRELATION BETWEEN ORAL HYGIENE AND PERIODONTAL CONDTION. Acta Odontol Scand 1964;22(2):121-135.4.Löe H, Silness J. PERIODONTAL DISEASE IN PREGNANCY. I. PREVALENCE AND SEVERITY. Acta Odontol Scand 1963;21(12):533-551.5.Lindhe J, Hamp SE, Loe H. Experimental periodontitis in the beagle dog. Int Dent J 1973;23(3):432-437. この研究は、あくまでも歯肉炎に関するものです。では、歯周炎に関してはどうかというと、まずこの実験モデルをこのまま続行して歯周炎が発症するまで口腔衛生をやめさせることは倫理的に許されません。なぜなら、歯周炎がいつ発症するかはまったく読めませんし、歯肉炎と違って歯周炎による病態は非可逆的だからです。このような場合は、動物実験が有効な方法になります。もちろん、動物で起こったことがそのままヒトでも起こるとは限りません。しかし、少なくともイヌやサルなどの歯周組織の構造はヒトと同じなので、シミュレーションとしては有効ですし、ある程度のことは言えます。実際にLindheら(1973)は「ビーグル犬における実験的歯周炎」という論文その後の研究で、歯周炎とプラークとの関連についても明らかになった!Point 3において、20頭のビーグル犬のうち10頭には1日に2回ブラッシングを行い、残りの10頭にはブラッシングを行わずにソフトフードを与え続け、歯周組織の状態を18ヵ月間観察する研究を行いました5)。その結果、ブラッシングを行わなかった群のビーグル犬では結合組織性付着や骨吸収をともなう歯周炎が発症したことを示しました。すなわち、不良な口腔衛生によって細菌性プラークが歯面に付着したことが歯周炎の原因であると証明したわけです。その後、この動物実験のみならず、種々の研究機関における臨床研究でも、プラークコントロールが歯周炎の治療に必須であることが証明され、この動物実験の結果を裏付けました。のまとめ 歯肉炎の原因がプラークであり、プラークの量の増加や質の変化、すなわち球菌、短桿菌主体の細菌叢が、桿菌や線状菌、さらにはスペロヘータやビブリオが含まれるようになることで、歯肉炎が進行していくことが観察されました。さらに、動物実験からは、口腔衛生を行わないことで歯周炎が発症することもわかりました。歯周疾患の原因がプラークであることの科学的根拠はこうして確立されていったのです。1Evidence21

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