歯科衛生士のための臨床歯周病学のエビデンス活用BOOK
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これも聞きたい!P.19表3に「当時の333歯肉炎指数の定義」が載っていましたが、現在の定義ではどのように変更されているのですか? その違いを教えてください。今回の教材の主な結果(P.19)において、実験開始後、球菌や短桿菌、線状菌、長桿菌、スピロヘータ、ビブリオがそれぞれの段階で出現したということですが、出現する菌の違いからどのようなことが言えるのか教えてください。QA&昔の定義では「スコア2」において「加圧時に出血する」という内容が含まれていましたが、ここが現在の定義と違います。当時は、プロービングとは別に、プローブの先端を歯冠方向に向け、プローブの側面で歯肉を擦り、加圧した際に出血の有無を診ていました。しかし、現在では、歯肉溝入口の軟組織壁にそってプローブを挿入した後に出血の有無を診ることになっています。したがって、現在の定義では「プロービング時に出血する」という内容になっています。球菌や短桿菌は、健康な歯肉に隣接した歯面上に優勢にみられる細菌です。おもにレンサ球菌や放線菌で占められていたと考えられます。これらは歯面にあるペリクルに付着できるレセプターを持っており、早期集落菌と呼ばれています。そして、プラーク形成が進み、ある程度成熟すると、長桿菌、線状菌が増えてきます。これらの多くはグラム陰性菌で内毒素を持ったものです。すなわち、歯周病の視点で考えると、病原因子をもつ菌がプラークの成熟にともなって増えてくるということです。歯肉炎の状態がピークになると、隣接歯面のプラークからビブリオなどの運動性桿菌や、スピロヘータなどのより毒性が強い細菌が出現します。つまり、あくまで形態学的に考えると、丸い菌や細長い菌が多いプラークは毒性が低く、細長い菌の割合が多くなると毒性が増し、さらにらせん形の菌や運動性をもった細長い菌が検出されるプラークはより毒性が強く、歯肉の状態を悪化させる、ということです。22

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