口の中がわかる ビジュアル歯科口腔科学読本
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第3章 各論ちしき豆う蝕●歯のう蝕は4つの因子が重なることで進行する.●う蝕原性菌,食物残渣(糖分を含む),唾液は結合し,歯垢(プラーク)となって歯に結合する.う蝕原性菌はプラーク中で,食物残渣,特に糖質から酸を産生し,表面のエナメル質を溶かしはじめる(脱灰).●歯質は一度の量よりも,頻回(時間)に脱灰されたほうがう蝕は進行する.脱灰のしやすさは歯質により異なる.●口腔常在菌中には多くの原因菌(う蝕原性菌)が存在する.この中でもっとも重要な菌がミュータンス菌(Streptococcus mutans)である.1 歯の疾患歯のう蝕症担当:栗田 浩•歯のう蝕症(う歯,むし歯)とは,口腔内の細菌が糖質から産生した酸によって歯質が脱灰されて起こる,歯の実質欠損のこと.•う蝕の有病率は,20歳以上80歳未満の各年齢階級では8割以上(平成23年度歯科疾患実態調査)と報告されている.ひとこと説 明酸性に傾いた口腔内のpHは,唾液の緩衝(中和)作用によりアルカリ性に戻される.この際,溶けたエナメル質が修復されるが,これを再石灰化と呼ぶ.口腔内ではつねに脱灰と再石灰化が起きており,このバランスが崩れるとう蝕が進行すると考えられている.歯質の強化:歯の形成時期の栄養(良質なタンパク,カルシウムやリン,ビタミンA,C,D)と萌出後のフッ化物応用により歯質を強化することができる.フッ化物はエナメル質に取り込まれることで耐酸性が向上する.キシリトール:酸産生能は糖質の種類によって異なり,砂糖の主成分であるスクロースがもっとも高く,キシリトールは低い.dental caries, tooth decayう蝕時間糖分細菌歯質アパタイトプラークミュータンス菌酸酸酸酸酸酸酸酸酸唾液唾液酸酸PO4PO4CaCaCa歯垢歯面酸+=唾液中和唾液唾液唾液唾液PO4PO4CaCaCa歯垢歯面再石灰化唾液唾液PO4PO4CaCaCa歯垢歯面唾液糖分糖分酸酸酸PO4PO4CaCaCa歯垢歯面脱灰糖分酸+=

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