インプラント周囲炎とレーザー
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108PART 4 インプラント周囲炎へのレーザーの応用6-2-1インプラント周囲炎の検査インプラント周囲粘膜炎の検査で排膿が認められ,あるいはプロービングポケットデプスでインプラント周囲炎の疑いがある場合は,デンタルエックス線写真を参考に積極的なプロービングを行う.術者可撤式の上部構造は撤去してプロービングを行うことで,より正確なインプラント周囲炎の診断が可能となる.この際,デンタルエックス線で明らかな骨欠損が認められるならば,「積極的なプロービング」を行う指針となる.積極的なプロービングとは,インプラント周囲粘膜炎の検査時に用いられる弱いプロービング圧ではなく,ボーンサウンディングを行う.デンタルエックス線像だけでは正確な骨の欠損状態を把握することは困難である.ボーンサウンディングに近いプロービングを行うことで,より正確な診断が可能である.ただし,下記に述べるように骨欠損像の発現時期に注意する.CBCTの撮影はインプラント周囲炎の検査に有用である.6-2-2インプラント周囲炎の分類インプラント周囲炎は,プロービングポケットデプス,デンタルエックス線像から得られる骨欠損像,ボーンサウンディングやCBCTから得られた骨欠損の形態,インプラント体の動揺度などにより分類されるのが一般的である.また,デンタルエックス線像から得られる骨欠損像は,インプラント周囲粘膜炎と周囲炎の鑑別に不可欠な検査である(図1).デンタルエックス線像で1〜2mmの骨欠損像がある場合に,インプラント周囲粘膜炎ではなく,インプラント周囲炎の診断がなされる.しかし,約3か月周期でプロフェッショナルクリーニングと経過観察が行われ,炎症所見が認められないにもかかわらず,デンタルエックス線で骨欠損像が検査された場合,骨の透過率は上がってはいるが,実質欠損ではない可能性がある.section 2インプラント周囲炎図1 インプラント周囲炎のエックス線写真.インプラントの3スレッド付近にまで骨透過像が観察される.上部構造の不適合はみられない.転居により5年間検診を怠っていた.

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