インプラント周囲炎とレーザー
5/6

136PART 4 インプラント周囲炎へのレーザーの応用患者は47歳の男性.上顎左側前歯部のインプラント周囲の違和感を主訴に,本学インプラント科から保存科に紹介来院(図1,2).初診時,1インプラント周囲のプロービングポケットデプス(PPD)は7〜8mm,プロービング時の出血(BOP)・排膿はともに(+)であった.口腔内診査・歯周組織検査を行った後に,残存歯に対して歯周基本治療を行った.歯周基本治療終了後,Er: YAGレーザーを使用(照射条件:80mJ,10pps)して,1のインプラント周囲の除染を図った.また,2のインプラント周囲は超音波スケーラーのみを使用して治療を行い,コントロールとした.術前・術後には各臨床パラメーターを測定し,さらに細菌検査を行って比較・検討した.Er: YAGレーザーによるインプラント体表面の蒸散Er: YAGレーザー(アーウィンアドベール・モリタ製作所)にC600Fのチップを使用して,注水下で1回30秒間を目安に,絶えずチップの先端を動かしながら照射を行い,1分間のインターバルを置いた後,さらに30秒間の照射を行い,1インプラント体表面の蒸散と除染を行った(図3a~d).2は超音波スケーラーによるイリゲーションのみを行った.臨床パラメーターの改善と細菌検査による客観的な治療成果の確認インプラント周囲炎に罹患したインプラント体周囲をEr: YAGレーザーを用いて掻爬したところ,PPD,case 4【Er: YAGレーザー】 細菌検査を併用しながら,中等度のインプラント周囲炎患者にレーザーを応用した症例図2a, b 術前のパノラマとデンタルエックス線写真(2012年9月).図1 初診時口腔内写真.患者は47歳の男性.本人は違和感を感じる程度.PD8mm.BOP(+);2,1,1.排膿(+)1.連結冠のため動揺(−).ab

元のページ  ../index.html#5

このブックを見る