インプラント周囲炎とレーザー
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137CHAPTER 8 インプラント周囲炎のレーザー治療・症例アーカイブBOP,歯肉炎歯数(GI)などの診査項目では,施術2週間後において,著明な臨床所見の改善効果が認められた(表1,2).また,細菌学的検索の結果でも,臨床所見の改善効果を支持する結果が得られた(図4,5).まとめ近年,インプラント周囲炎に罹患する患者は増加傾向にあり,その対応策の検討は大きな課題の1つになっている.超高齢社会や有病者歯科への対応として,有効なノンサージカルアプローチの方法を構築していくことは,今後重要な課題となると考えられるEr: YAGレーザーは組織表面吸収型レーザーであるため,インプラント体への熱影響が少ない.また,Er: YAGレーザーは硬組織表面の蒸散作用にもすぐれていることがわかっており,本症例においても,インプラント体表面のバイオフィルムやコンタミネーションを選択的に除去することができたため,良好な結果が得られたと考えられる.図3a~d Er: YAGレーザーによるインプラント体表面の蒸散.bは超音波スケーラーによるイリゲーションを示す.表1 Er: YAGレーザー(1部)によるインプラント体表面の蒸散による臨床パラメーターの変化.臨床パラメーター初診時1か月後1年後BOP+−+排膿+−−PPD8mm4mm4mmGI202表2 超音波スケーラー(2部)によるインプラント体表面のスケーリングによる臨床パラメーターの変化.臨床パラメーター初診時1か月後1年後BOP+++排膿−−−PPD6mm3mm4mmGI222point①Er: YAGレーザーを使用してインプラント体周囲を除染すると,歯周病原細菌の後戻りを抑制できる可能性がある.②臨床所見の改善効果を客観的に確認することができるため,術前・術後の細菌検査は有用である.abcd

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