生体にやさしい戦略的矯正歯科治療歯科矯正用アンカースクリューの応用
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231歯科矯正用アンカースクリューを用いた矯正歯科治療SECTION3 図12-39a 圧下力による頬側への傾斜を、ワイヤーにクラウンリンガルトルクを付与して防止する。図12-39b エラスティックスレッドをどのようにワイヤーにかけるかによって、圧下力の適用部位が異なってくる。第二大臼歯のチューブのフックから、大臼歯のワイヤーに沿ってスクリューに掛ける場合:アンカーロスさせる近心方向に引きながら、臼歯部を圧下する1フックから小臼歯部のワイヤーに沿ってスクリューにかける場合:前歯部のリトラクションとアーチ中央部の圧下が起こるフックから直接スクリューをかける場合:前歯のリトラクションと圧下が期待できる。臼歯部の圧下の力は働かないフックから大臼歯部のワイヤーに沿ってスクリューにかける場合:前歯部のリトラクションと臼歯の圧下が同時に起こる234 臨床テクニック945°のプログレッシブリンガルトルクの付与 頬側スクリューから圧下力をかけると、大臼歯が頬側に傾斜するようになる。これを相殺するため30~60°のリンガルトルクを付与する。歯と歯の隣接面ごとに断続的にトルクを入れるのではなく、犬歯と第二大臼歯の間にプログレッシブにトルクを入れる(図12-40a)。そのためにはアーチベンディングプライヤー2つを用いて、それぞれ犬歯と第二大臼歯の部分をつかんで、力を込めて90°以上ねじる(図12-40b、c)。 .019x.025 SSワイヤーの場合、平均的に 45°のリンガルトルクを付与する。60°45°30°15°0°図12-40a 臼歯部に平均45°のプログレッシブクラウンリンガルトルクを入れる。図12-40b、c 2つのアーチベンディングプライヤーを用いて、それぞれ犬歯と第二大臼歯の部分をつかんで90°以上ねじることで、プログレッシブクラウンリンガルトルクを入れることができる。 また、図12-39bのように多様な方向で圧下と遠心移動が行える。このとき、抵抗中心の位置を知っていなければならない。ここで非抜歯の模型ではあるが、4前歯、6前歯と全歯列の抵抗中心の研究を紹介する(図12-38c)。abc

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