口腔外科医のための口腔外科ハンドマニュアル’ 17
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PARADIGM SHIFT OF DENTAL SURGERY FOR 10YEARS LATER特集1歯科・口腔外科における再建治療の可能性Chapter-特集2高齢者に対する歯科・口腔外科治療の“かんどころ”抜歯窩に応用しやすい止血剤ATLAS 最後に,止血剤にはいろいろなタイプのものが存在するが,抜歯窩に応用しやすいものを紹介する.1)コラーゲン関連止血剤 コラーゲンの微細線維構造により,接触面積を広範囲にとることができる.出血面に接触することで,血小板を誘導・活性化し,血小板凝集塊を形成することを促進する14(商品名:インテグラン ®,テルプラグ ®).2)ゼラチン関連止血剤 止血剤というよりは組織シーラント・補強材としての性質が強い.凝固系活性化よりも水分を吸収し膨張する物理的圧迫作用の寄与が大きい(商品名:スポンゼル ®,ゼルフォーム ®).3)セルロース関連止血剤 木材パルプを原料とした再生酸化セルロースを使用した製剤.主成分であるpolyanhydroglucuronic acid がヘモグロビンと強く結合し塩形成を起こすことで,止血効果がもたらせる(商品名:サージセル ®).動物由来成分を含んでいないことより病原感染症のリスクはない.4)多糖類関連止血剤 多糖類からなる製剤は大きく2つの種類に分類される.[症例3]抗凝固療法を受けている患者の6抜歯処置 81歳,女性 (図5)図5g クロス縫合を行う.図5h その上に単純縫合を2糸追加する.これにより止血剤の脱落を防ぐとともに,抜歯窩の可及的閉鎖につながる.gh図5a ₆術前.図5b 抜歯窩.図5c 抜歯窩にサージセル ®填入.図5f 続いて遠心頬側隅角部歯肉を通す.図5d 4-0絹糸にて,まず近心頬側隅角部歯肉より入針し,遠心口蓋隅角部歯肉へと糸を通す.図5e つぎに近心口蓋隅角部歯肉を通す.7272

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