口腔外科医のための口腔外科ハンドマニュアル’ 17
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口腔機能の維持・再建が長生きにつながるCURRENT PRINCIPLES OF DENTAL SURGERYChapter2骨隆起の除去 下顎隆起は下顎骨の舌側面にみられる単発性あるいは多発性の半球状の骨隆起であり,小臼歯部付近に両側性に生じることが多い(図3~5).下顎隆起は,義歯を適用する場合,義歯の安定を妨げ,疼痛の原因となる.たとえ義歯を使用しなくても,巨大化すると,舌が挙上し,後方に偏位することで,相対的に気道を狭窄し閉塞性睡眠時無呼吸症の原因ともなる.また,舌の挙上にともない構音障害をきたすおそれがあることが予想される(図5). 算定要件として,カルテに理由および要点を記載することとされているが,理由としては,①構音障害の種類と程度など関連する症状,②咀嚼嚥下障害の程度および関連する症状を記載し,要点としては,診断に至った経緯,手術術式,使用材料,術直後経過などの記載をすればよいと考えられる.図1 口蓋隆起.口蓋正中部に有茎性の骨様硬度をもった腫瘤塊を認める.腫瘤の左側表面に擦過傷による潰瘍形成がある.図2 口蓋隆起のCT断面画像所見.内部に層板骨様組織の重なりを確認できる.口蓋骨には影響を認めない.ba図3 巨大化した下顎骨隆起.舌が口底に収まらないため,舌が挙上し後方に偏位している.図4 骨隆起切除後,患者は今までの窮屈感が取れ,構音障害,睡眠時呼吸が著しく改善したという自覚がある.149149

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