粘着歯学のための重要13キーワード ベスト240論文
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講演や雑誌でよく見る、あの分類および文献解説者コメント:スポンジでボンディング材を塗布する際には、スポンジにボンディング材をたっぷりと含ませ、エッチング面を強くこすらないようそっと塗布するようにする。固い筆を塗布に使用するなどの乱暴な操作はもってのほかである。解説者コメント:接着性レジンとエッチングされたエナメル質との微細な接合状況を SEM およびTEMを用いて観察した結果、SEMにおいても、TEMにおいてもレジンとエナメル質との間に気泡などの接合欠陥は一切観察されず、エッチング処理により形成されたエナメル質表面の微細凹凸構造にレジンが侵入して重合し、ミクロおよびマクロなレジンタグが形成されている様相が確認されている。このようにレジンとエナメル質の界面に一切気泡が観察されないのは、エッチングにより得られたエナメル質表面はきわめてクリーンで表面自由エネルギーが高く、エッチングされたエナメル質に対する接着性レジンの「ぬれ」がきわめて良いためである。レジン成分が毛細管現象により微細凹凸の隅々まで浸透するといわれている。解説者コメント:エナメル質が適切にリン酸エッチングされて接着に有効な微細凹凸構造が付与されると、乾燥したエナメル質表面は微細凹凸によって光が乱反射するため、左図右のような光沢のないマットな表面となる。このような表面は霜が降りたように見えることから、‘Frosty White’と表現される。リン酸エッチングの良否を可視的に確認できることは本処理法の利点のひとつである。宗近ら2, 3は、エナメル質とコンポジットレジンの接着にはリン酸エッチング処理が最適であることを示すとともに、エッチングされたエナメル質表面の微細凹凸構造はきわめて脆く、ボンディング材の塗布時に凹凸構造を壊すと接着強さが著明に減少することから、ボンディング材の塗布により微細凹凸構造を壊さないよう十分に気をつける必要があるとの注意喚起を行った。リン酸エッチング前。着色除去後にリン酸エッチングしたエナメル質表面。200150100500(0.01~0.03)(0.2~0.6)(2~3)applied pressure(g)adhesive strength(kg/cm2) (7~10)7.5μm(0.01〜0.03g)(0.2〜0.6g)(7〜10g)7.5μm7.5μm2.5 µmエナメルプリズムボンディング材層エナメルタグコンポジットレジンSEMエナメル質ハイドロキシアパタイト接着性レジンTEM200 nm147

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