MTA全書
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18MTA全書Fig.2.1 gray MTAと歯の色の(white)MTA.(James Brozek先生のご厚意による)Administration:FDA)より,MTAの用途と技術的特性は市場にでている覆髄材などと実質的に同等であるという審査結果を受け取った.MTAは,根管充填に用いられることからClassⅡ医療器機に分類され,ProRoot MTAとして販売されることとなった.商品として最初に販売されたMTAはグレーのタイプ(gray MTA)だったが,2002年には一般的に“white MTA”と呼ばれる歯の色に近い白色のMTAが発売された(Fig.2.1,Fig.2.2).最初の研究報告以来,初期型試作セメントおよび商品化されたProRoot MTA(各々のMTAの構成要素や類似セメントについても含めて)について数多くの研究がなされた.試作段階のものと市販されたものとではいくらか違いがあるが,本章ではMTAの種類についてはとくに重要な場合を除いて言及しない.MTAの組成 特許にも記載されているが,MTAの主成分はポルトランドセメントである.ProRoot MTAの化学物質安全データシート(Material Safety Data Sheet:MSDS)によると約75wt%がポルトランドセメントで,20wt%が酸化ビスマス(Bi2O3),5wt%が硫酸カルシウム二水和物または石膏(CaSO4・2H2O)となっている.これに加えて他の成分がごくわずか含まれている.

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