開業医のための口腔外科 重要12キーワードベスト240論文
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PAGE132PAGE134PAGE136PAGE138PAGE140PAGE143PAGE133PAGE135PAGE137PAGE139PAGE142PAGE144舌側皮質骨舌神経頬側皮質骨8.32 mm3.45 mm講演や雑誌でよく見る、あの分類および文献8AAOMSと顎骨壊死検討委員会のポジションペーパーの比較出典  Ruggiero SL, Dodson TB, Fantasia J, Goodday R, Aghaloo T, Mehrotra B, O'Ryan F. American Association of Oral and Maxillofacial Surgeons. American Association of Oral and Maxillofacial Surgeons position paper on medication-related osteonecrosis of the jaw―2014 update. J Oral Maxillofac Surg 2014;72(10):1938-1956.   顎骨壊死検討委員会[編].骨吸収抑制薬関連顎骨壊死の病態と管理:顎骨壊死検討委員会ポジションペーパー2016.BRONJ/MRONJ/ARONJ9ARONJの臨床症状とステージングステージ臨床症状および画像所見ステージ0臨床症状:骨露出/骨壊死なし、深い歯周ポケット、歯牙動揺、口腔粘膜潰瘍、腫脹、膿瘍形成、開口障害、下唇の感覚鈍麻または麻痺(Vincent症状)、歯原性では説明できない痛み画像所見:歯槽骨硬化、歯槽硬線の肥厚と硬化、抜歯窩の残存ステージ1臨床症状:無症状で感染を伴わない骨露出や骨壊死またはプローブで骨を蝕知できる瘻孔を認める。画像所見:歯槽骨硬化、歯槽硬線の肥厚と硬化、抜歯窩の残存ステージ2臨床症状:感染を伴う骨露出、骨壊死やプローブで骨を蝕知できる瘻孔を認める。骨露出部に疼痛、発赤を伴い、排膿がある場合と、ない場合とがある。画像所見:歯槽骨から顎骨におよぶびまん性骨硬化/骨溶解の混合像、下顎管の肥厚、骨膜反応、上顎洞炎、腐骨形成ステージ3臨床症状:疼痛、感染または1つ以上の下記の症状と伴う骨露出、骨壊死、またはプローブで骨を蝕知できる瘻孔。歯槽骨を超えた骨露出、骨壊死(例えば、下顎では下顎下縁や下顎枝にいたる。上顎では上顎洞、頬骨にいたる)。その結果、病的骨折や口腔外瘻孔、鼻・上顎洞口腔瘻孔形成や下顎下縁や上顎洞までの進展生骨溶解。画像所見:周囲骨(頬骨、口蓋骨)への骨硬化/骨溶解進展、下顎骨への病的骨折、上顎洞底への骨溶解進展注:ステージ0のうち半分はONJに進展しないとの報告があり、過剰診断とならないよう留意する。140講演や雑誌でよく見る、あの分類および文献解説者コメント:口腔顔面痛患者は長期で複雑化した経過の場合も多く、本表の活用によって痛みの特徴が整理できることや診察時間の短縮につながるといったメリットがある。鑑別診断の列挙に有用であるが、最終的な病態診断のためには、その後の問診の追加や各種診査が必要である。8口腔顔面痛疾患の構造化問診と鑑別診断出典  村岡渡.痛みの構造化問診.In :日本口腔顔面痛学会編, 口腔顔面痛の診断と治療ガイドブック.第2版.東京:医歯薬出版;2016:70-73.Orofacial pain11本表は、左列のように、痛みに対して「部位」や「発現状況」など12の項目による系統化された問診を用いて、鑑別すべき疾患の特徴をまとめたものである。たとえば、これに当てはまる項目の多い病態が鑑別診断の候補に挙がる。痛みの構造化問診病態咀嚼筋痛障害顎関節痛障害三叉神経痛帯状疱疹後神経痛上顎洞性歯痛心臓性歯痛群発頭痛特発性歯痛1:部位上下顎、顔面上下顎、顔面、耳前部、耳片側、顔面、顎、歯、歯肉片側、顔面、顎、歯、歯肉、口腔粘膜片側または両側 頬、上顎の歯、特に臼歯部両側性が60% 下顎>上顎片側、側頭部、眼窩、目の奥、上顎臼歯下顎<上顎 大・小臼歯が多い2: 発現状況徐々にあくびや硬いものを食べたなど徐々に悪化最近、帯状疱疹の既往あり、3か月以上持続数日前から労作時に発現突然さまざま3:経過半年前から徐々に 悪化など1週間前から 突然生じたなど数週間前からなど帯状疱疹が治癒してから痛みが悪化風邪をひいたなどときどき痛みを生じるようになり徐々に悪化発作性4か月以上持続で徐々に悪化4:質にぶい、重苦しいギクッと走るような電気が走ったような するどい焼け付くような、 チクチク、ぴりぴり、にぶいズキンズキンと脈打つ、にぶい、うずくようなしめ付けられる、圧迫感、焼け付くようなするどい、刺すような、脈打つうずくような、うんざりするような5:程度弱い~強い痛いが食べられる激痛、NRS※10 痛くて食べられない中程度~激痛 NRS5~10中程度~強い強度激痛中程度~激痛6:頻度持続している1日数回~数十回1日10回くらい持続している ときどき強い痛み持続している1日数回など1~8回/日持続痛またはほぼ持続痛7:持続時間持続している数秒数十秒持続している(+ときどき数秒の激痛)持続している数分~20分、それ以上15分~180分持続痛またはほぼ持続痛8:時間的特徴夕方は痛みが悪化-就寝中は痛くない-夜間は痛みが悪化---9:増悪因子食事、ストレス食事、開口食事、洗顔、歯磨き食事、洗顔入浴、下を向く運動、労作、興奮、食事アルコール摂取歯科治療で改善しないまたは悪化10:緩解因子温める、マッサージ安静安静-冷やす、鎮痛薬の服用安静--11:随伴症状頭痛、肩こり--顔のしびれ(知覚鈍麻)頭痛 上顎多数歯が咬むと痛い胸痛(ただし半数は胸部痛を伴わない)、胸部不快感、左腕痛、頚部痛涙が流れる、鼻水が出る(自律神経症状)-12:疼痛時行動押す大開口しないじっとしている顔を押さえる冷やす落ち着かないじっとしていられない-※NRS=Numerical Rating Scale(142ページ参照)143板症の癌化率は10%程度とされているが、臨床的に白板症と診断される病変の中に、しているものが含まれていることに注意する。特に非均一型白板症は病理組織学的多い。治療(外科的切除)は生検を行ってから行う場合と、切除生検(病理組織学的検安全域を設けて切除する術式)として行う場合がある。生検にて異形成を認めない場ことも多い。したがって白板症と思われる病変を発見した際は、誘因と考えられるも、病変には刺激を加えず、ステロイド軟膏塗布のみで2週間経過を観察する。治癒し専門機関に紹介する。腔白板症の臨床的分類, Reichart PA, Smith CJ, vander Waal I. WHO. International Histological of Tumours, Histological Typing of Cancer and Precancer of the Oral Mucosa. n. Berlin : Springer-Verlag, 1997. より引用改変彦.口腔外科学.第3版.東京:医歯薬出版;2010.より引用改変他のいかなる疾患としても特徴づけられない著明な白色の口腔粘膜の病変」(WHO、2002)であとが重要であり、その癌化率は3.1%~16.3%とされている。また、「白板症」は、病理組織学的に関係なく用いられる臨床的病名であるので、生検による病理組織検査が必要である。なお、、浸潤癌と診断された後の病変は口腔癌として取り扱い、白板症には含めない。白板症は視診に分けられ(表)、非均一型は均一型より一般的に癌化しやすい。特に白斑の中に紅斑を認める関連が高い。現時点でエビデンスのある治療法は外科的切除のみであり、すでに癌化している生検前の病変へのレーザー照射などは禁忌である。臨床病態病理組織学的特徴)全般的に薄く均一な白斑を呈する病変。病理組織学的に過角化や棘細胞層の肥厚に留まり、上皮異形成をともなわないことが多い。悪性化の可能性は比較的低い。s type)白斑の濃度が非均一である病変。特に白斑の中に紅斑やびらんを認める紅斑混在型は、悪性の可能性が高い。病理組織学的に上皮異形成を認めることが多く、すでに上皮内癌や浸潤癌へ移行していることもある。板症一であり、病変の境界は比較的明図3 非均一型(紅斑混在型)白板症濃い白斑と薄い白斑が混在し、前方には紅斑(矢印)を認める。432図4 非均一型白板症白斑の濃度が非均一で病変が点在しており、境界も不明瞭である。123456789101112講演や雑誌でよく見る、あの分類および文献下顎埋伏智歯の埋伏状態によるPell-GregoryとWinterの分類下顎智歯抜歯における下歯槽神経障害の放射線学的術前評価Sunderland、Seddonの神経損傷の分類下顎智歯部における舌神経の走行パターンオトガイ神経の下顎骨内経過の分類(アンテリアループ)口腔癌の臨床型分類口腔白板症の臨床的分類AAOMSと顎骨壊死検討委員会のポジションペーパーの比較4つのペインスケール口腔顔面痛疾患の構造化問診と鑑別診断123456789101112下顎埋伏智歯と下顎管との位置関係の評価:パノラマX線写真とコーンビームCTの相関性に関する分類Urbanのフラップデザインの分類:上顎前歯部垂直性骨欠損に対する骨造成術MVDmesial pointvertexmental canal

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