臨床にあった歯科用レーザー活用法
4/4

Er:YAGレーザーを応用した歯髄温存療法松本邦夫東京都開業松本歯科医院連絡先:〒158-0097 東京都世田谷区用賀4-4-8第2福島ビル2Fこの症例の概要 患者は初診時48歳の男性で,マイクロスコープ下において隣接面に大きなう蝕の存在が確認できた.デンタルエックス線写真においては,歯髄へ達する可能性が高いう蝕であることがわかる.特筆すべき現症は認められず,問診においては冷たいものにたまにしみる程度のことが数回あったとのことであった.打診:(-),電気的歯髄診:正常範囲,温度診:冷(+),温(-) 感染象牙質除去時に露髄することは容易に予想されたが,全部性の歯髄炎になっている可能性は低く,露髄面の適切な処理により歯髄の保存の可能性があると判断した.そして患者と相談の結果,止血のコントロールがうまくいった場合は歯髄温存療法を適用することとし,治療を開始した.●選択の理由 歯周外科処置を効率的,かつ確実に行うため,かねてよりレーザーの使用を模索していた.各種レーザーはそれぞれ歯周外科処置時の有効性を謳っているが,歯根面の郭清,炎症性肉芽組織の除去,歯槽骨整形など,筆者の期待する部分に有用性を感じ購入を検討することとなった.デモ機使用時,抜去歯の歯石除去を行った際,除去後の根面は白色の鱗状を呈し,今までのルートプレーニングの概念より外れていたが,医歯大の青木先生の論文を参照することにより,さらに有効性を見出し導入に踏み切った.「アーウィン アドベール」mini column巻頭アトラス12pで紹介「アーウィン アドベール」手用器具や回転切削器具と違い,接触せずとも光が到達すれば生体組織への蒸散が可能であり,デブライドメントが困難であった部位の治療をはじめ,歯髄温存療法の新しい術式を生む可能性を有する.summary42

元のページ  ../index.html#4

このブックを見る