ジャパニーズ エステティックデンティストリー2018
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Aesthetic restoration of anterior teeth using porcelain laminate veneersはじめに 1980年代中葉から臨床応用が開始されたポーセレンラミネートベニア(以下、PLV)は、現代の社会環境に即した審美性の回復、また近年ますます求められるようになった最小限の侵襲(MIコンセプト)といった要素から、審美修復において必要不可欠な修復技法となっている。こうした中、PLVは純粋な機能回復というよりも審美性の回復を主目的とする技法であるだけに、かつては大学における研究対象にはなりづらかったが、近年ではその長期安定性を報告した研究も多く発表されるようになり、多くの先人たちが手がけてきたPLV修復に学術的な裏付けが与えられるようになってきた。そしてこの間には、日本が誇る接着歯学の貢献も大であった。 そこで本年の本誌では、PLVの経過症例を種々供覧することで、それらがもたらす患者および術者へのメリットについて示してみたい。なお、PLVの材料は長石系陶材を築盛して製作したものを中心に、新しいプレス材料を加えて解説したい。ケースプレゼンテーションCase1 患者は20歳代女性。ガミースマイルと、歯冠形態の不良を主訴に来院した(Fig 1)。診査・診断の上でPLVによる修復を予定し、モックアップを装着した(Fig 2)。これを基に歯肉切除術を行ったところ(Fig 3 and 4)、やはり天然歯の色調・形態を改善する必要があることが明確となり、2〜2部へのPLVの製作を開始することとなった。支台歯形成時をFig 5に、模型上での完成時をFig 6に、そして装着後8年経過時の状況をFig 7に示す。Case2 次に、症例が示される機会の少ない、支台歯の隣接面までも削除するタイプの270度ベニアの症例を示したい。患者は20歳代女性。矯正治療後、他院で装着されたPLVの色調と形態に不満をもち来院した。この時点で歯冠長は短く調整してある(Fig 8)。支台歯形成後、モックアップを装着(Fig 9 and 10)。これを基に2〜2部のPLVの製作を進めた(Fig 11 to 13)。装着数週間後のリコール時の状況をFig 14に示す。また、1年経過時の状況をFig 15およびFig 16に示す。PLV部には大きな摩耗もみられず、隣在歯と比較しても治療直後のイメージを残している。Case3 患者は40歳男性で、前歯部の審美性改善を希望して来院(Fig 17)。とくに、側切歯の傾斜と正中離開の改善を希望された。セラミックによる修復を勧めたが、治療にかかる費用と時間の問題からコンポジットレジンによる直接修復を選択し、いったん治療を完了した(Fig 18)。しかし、患者の嗜好13THE JAPANESE JOURNAL OF ESTHETIC DENTISTRYISSUE 2018

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