下野先生に聞いてみた[1]
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018PART 1 ペリオの疑問一般に,炎症が収まってくると,それに代わって線維性の修復(肉芽組織の形成)が起こります1,2.急性から慢性に移行する過程で,炎症の部位には,炎症性組織と肉芽組織が混在することになります.見方を変えると,「炎症をともなわない肉芽組織」が存在し,「肉芽組織をともなわない炎症」が存在する,ということもできます.【くわしい説明とEvidence】 炎症と肉芽組織との関係を整理すると,図6-1のように要約できます.つまり,「炎症をともなわない肉芽組織」があり,「肉芽組織をともなわない炎症」がある,ということです. 炎症は経過によって「急性炎症」と「慢性炎症」にわけることができます.炎症をともなう肉芽組織は,慢性炎症で見られます.慢性炎症と免疫は同義ではありませんが,免疫応答は炎症の後期にみられます2.炎症における変化の中で,赤枠で囲んだ変化は「肉芽組織をともなわない炎症」と考えることができます. 一方,肉芽組織は4つの病的状態に関与します.たしかに,炎症にともなって肉芽組織は出現しますが,図6-1青枠で囲んだそれ以外の病変(異物の処理では若干の炎症をともなうとも考えられますが)では,「炎症をともなわない肉芽組織」ということができます.炎症と肉芽組織とはどのような関係がありますか? answeraskペリオ06肉芽組織⑤図6-1 炎症と肉芽組織の関係を示す模式図.「炎症をともなわない肉芽組織」があり,「肉芽組織をともなわない炎症」がある.炎症は経過によって「急性炎症」と「慢性炎症」にわけることができる.肉芽組織は4つの病的状態に関与する.赤枠で囲んだ変化は「肉芽組織をともなわない炎症」と考えることができる.一方,青枠で囲んだ病変では,「炎症をともなわない肉芽組織」ということができる.急性炎症創傷治癒組織欠損の補充異物の処理慢性炎症・免疫炎症肉芽組織炎症をともなわない肉芽組織肉芽組織をともなわない炎症炎症をともなう肉芽組織

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