下野先生に聞いてみた[1]
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019肉芽組織⑤「感染した肉芽組織」と「炎症をともなわない肉芽組織」の臨床的取り扱い 「感染した肉芽組織」は,易出血性であると同時に,浮腫性(ジワジワと出血するブヨブヨした組織)で,ちぎれやすいのが特徴です(図6-2a,3a).鋭匙,鋭匙型スケーラーなどで剥離し,鋭匙型ピンセットで容易に除去することができます.さらに,感染した肉芽組織が除去できた場合は,周囲組織からの出血量が少なくなるのでこれを目安とすることができます.一方,「炎症をともなわない肉芽組織」および健常な結合組織は,鋭匙ピンセットで引っ張っても,明らかな抵抗があり,簡単には除去できません.このような組織(歯根膜,骨膜)をCO2レーザーなどで,無理に除去しないように注意すべきです.なぜなら,このような組織が再生・治癒に積極的に関与する可能性があるからです.参考文献1. Trowbridge HO, Emling RC. Inammation: A Review of the Process, 5th Ed.Chicago: Quintessence Publishing, 1997.2. 下野正基・編・著.スタンダード病理学.東京:学建書院,2005.図6-2a 術前の感染肉芽組織.矢印で囲んだ赤いブヨブヨした部分が「感染した肉芽組織」である.図6-2b 肉芽組織を除去した後の歯周ポケット.*印は骨表面に残った「炎症をともなわない肉芽組織」または健常な結合組織を示す.写真提供:三上格先生(苫小牧市開業)図6-3a 術前の感染肉芽組織.鋭匙で持ち上げた赤い浮腫性の組織(矢印で囲んだ部分)は「感染した肉芽組織」を示している.図6-3b 肉芽組織を除去後の歯周ポケット.*印は骨表面に残った「炎症をともなわない肉芽組織」または健常な結合組織である.写真提供:三上格先生(苫小牧市開業)******

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