下野先生に聞いてみた[1]
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022PART 1 ペリオの疑問「歯肉縁上プラークコントロールをすると,歯肉縁下プラークは増えない」ことが証明されています.つまり,歯肉縁下プラークの細菌は歯肉縁上のプラークから供給されている1ので,縁上のプラークをコントロールすると,歯肉縁上のみならず縁下のプラークの量も減少し,その結果,歯肉は健康な状態になるのです.【くわしい説明とEvidence】 サルを用いたWaerhaugの研究を紹介します.実験開始時にすべての歯肉縁上および歯肉縁下プラークを除去しました.1年間の実験期間中,左側の歯は週3回バス法によって注意深くブラッシングを行い,右側の歯はまったくブラッシングを行ないませんでした. 抜去歯をトルイジンブルーで染色すると,歯根膜もプラークも青く染まっているのがわかります.歯根膜とプラークの間にプラークフリーゾーン(染色されない部分)が観察されます2(図8-1a,b). 組織学的に観察すると,ブラッシングを行わなかった群ではほとんど全例に歯肉縁下プラークが形成されていなぜ縁上のプラークコントロールで歯肉はよくなるのでしょうか?answeraskペリオ08歯肉縁上プラーク図8-2 Waerhaugの研究結果を要約した模式図.実験開始時にすべての歯肉縁上および歯肉縁下プラークを除去した.対照群の歯はまったくブラッシングを行わなかった.模式図はブラッシングを行わない場合,歯肉縁下プラークがもとの状態に戻るのに1年かかることを示している.*参考文献4より引用・改変図8-1 抜去歯をトルイジンブルーで染色すると,歯根膜もプラークも青く染まって見える.歯根膜とプラークの間に染色されないプラークフリーゾーンが観察される.プラークフリーゾーンは付着上皮による上皮性付着の部分に相当する2.歯肉縁プラーク術前術直後90日後180日後270日後360日後3mmプラーク フリーゾーンプラーク歯根膜aプラーク フリーゾーンプラーク歯根膜b

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