下野先生に聞いてみた[1]
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104PART 2 インプラントの疑問【くわしい説明とEvidence】 萌出後の歯の生理的移動には,①顎骨発育にともなう適合(順応),②持続的な咬耗の補填,③隣接歯同士の摩耗への適合,が挙げられています1. ①顎骨発育にともなう適合(順応)についての移動距離インプラントと近心側にある天然歯間とのコンタクトが緩くなる原因は何ですか?天然歯は萌出後も生理的に移動しています.隣接歯同士の摩耗への適合もその1つで,摩耗によって失われたスペースは,歯の近心移動によって補われています.天然歯は近心移動しているのに,インプラントはほとんど動かないため,インプラントと天然歯とのコンタクトが緩くなると考えられます.answeraskインプラント09インプラントと歯の移動は,根尖部で下歯槽管から2〜3mmとされています.②咬耗によって生じた垂直方向のスペースは,歯の垂直方向への移動(挺出)とセメント質添加によって補填されると考えられています.③隣接歯同士の摩耗によるスペースは,歯の近心移動によって補われます.図9-1a インプラント埋入時のエックス線写真(2009年10月).患者は58歳の女性.インプラントと天然歯は緊密にコンタクトしている.図9-1b インプラント埋入8年後のエックス線写真(2017年10月).インプラントと天然歯の間に間隙が認められる(矢印). *写真提供:三上格先生(苫小牧市開業)

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