信頼が生まれる患者対応の技術
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その1まずはマスクを外すことから 非言語コミュニケーション (non-verbal communi-cation)という言葉があります。「目は口ほどにものを言う」ということわざのとおり、コミュニケーションにおいては、目線や表情、うなずき、仕草、姿勢、距離など、言語を超えた部分でさまざまな情報が相手に伝わっています。そして、私たちのコミュニケーションは、言語よりもこの非言語によるとこ そう、マスクです。マスク(mask)は、その名の通り顔を覆い隠すものです。これは自分を相手から隠すことを意味していますので、互いに見合う(inter-view)精神からはほど遠いことがわかります。患者さんは、表情が見えない相手に対しろが大きいと言われています。このために、医療面接においては、言葉だけでなく非言語コミュニケーションも重要視しているのです。 さて、歯科医院にはこの非言語コミュニケーションを阻害している最大の要因があります。皆様はなにかおわかりでしょうか? て本能的に不安を覚えますので、信頼関係を構築することは到底できません。 そして、マスク越しの会話はくもった声になり、きわめて聞きづらくなります。患者さんは、最初は聴き取ろうと努力するのですが、やがてはあきらめていきます。このような状態で、指導が成り立つはずもありません。聴力が低下している高齢者に対しては、特に注意が必要です。 以上より、マスク着用は必要最小限に留めることを意識し、少なくとも「最初と最後のあいさつ」はマスクを外した状態で行うことを心がけましょう。また、検査結果や治療方針を説明する際など、大切な場面においても、マスクは外し、表情と声が良く通る状態で行う必要があります。同じ説明であっても、マスクのある/なしで、患者さんの反応、理解度、信頼度は驚くほど大きく変わります。「あなた」は言葉以外で伝わるマスクは相手からあなたを隠してしまうその2言葉の前に、笑顔と眼差し マスクが外れた状態で、ようやくインタビュー(inter-view)の入口に立つことができます。 次に大切になるものは、「笑顔と眼まな差ざし」です。医療面接の教科書では、通常「目線」と書かれていますが、筆者は「眼差し」という言葉を使うようにしています。眼差しの方が、より雄弁に目と目を合わせる意味を伝えるからです。Inter-viewの入口に立ちました22

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