信頼が生まれる患者対応の技術
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各論編●歯科医院のための医療面接の勘どころ 次に眼差しですが、外来ではしばしば相手の目を見ていない医療従事者の反面教師がみられます(医師・歯科医師も含め、結構な頻度で出会います)。 家庭教育の影響も多分にあるのだとは思いますが、こういう人たちは往々にして自分が目を合わせられないことに気付いていません。ですから、職場でのロールプレイングを通して、第三者が「◯◯さん、もう少し自信をもって相手の目を見ながら話された方がよいですよ。そうそう、その感じ! さっきよりずっといいですよ!」といったように指摘し、フィードバックしてあげる必要があります。 ただし、ここで気を付けなければならない点があります。「ガン見」です。目線を合わせることが苦手な人に「目線を合わせましょう」とアドバイスすると、多くの場合、このガン見になってしまいます。あまりに緊張して、目を合わせることだけに意識が集中してしまうからです。そんな人には、「目線を合わせる時間は、およそ全体の半分程度ですよ」と伝え、ほどよい眼差しを体得できるまで、ていねいに時間をかけ、勇気づけながら指導してあげてください。 優しい眼差しを感じてもらうためには、単に「目を合わせる」だけでなく、どのような位置から向き合うかも大切です。次はこれを見直してみましょう。自分では「目を合わせられない」ことに気付けない まず笑顔については、言うまでもありません。初めてのあいさつを交わす際に、笑顔の有無は、その後の信頼関係構築に極めて大きな影響を与えます。たとえば、初対面で出会った医師が、能面のように無表情の人だったら、どうでしょうか? 逆に、最初から包み込むような笑顔で声を掛けてくれる医師だったら、どうでしょうか? もちろん、後者の医師に診てほしいですよね。その3高さが主従を支配する マスクとともに、歯科医院におけるコミュニケーション阻害の二大要因となっているのが、位置関係です。医療面接を学んだことがない人にとって、この位置関係の重要性は、なかなか理解が難しいようです。ひとつ例をお示しします。 テレビの医療ドラマで、必ず登場するシーンに「教授回診」があります。教授を筆頭に、准教授、助手、主治医、看護師長、看護師、研修医などが、まるで大名行列のようにベッドを練り歩く恒例行事です。 ここから読者の皆様は、患者さんの一人として、パジャマでベッドに横になっているところを想像してみてください。位置関係の大切さを感じてみましょう23

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